レッドソックス・澤村拓一投手(33)が、23日(日本時間24日)の本拠地マリナーズ戦でメジャー初勝利をマークした。

 今季、9度目の登板となった澤村は3―2と1点差に詰め寄られた4回、二死一、二塁の場面から2番手としてマウンドに上がり、1番ハニガーをスプリットで空振り三振に仕留めると「しゃーっ!」とスタンドに響くほどの雄たけびを上げた。

 澤村は続く5回もマウンドに上がり無失点に抑え、1回1/3を1安打無失点、奪三振3で降板。防御率は1・80となった。試合はレッドソックスが6―5で勝利。うれしい初勝利となった。

 一方で敗戦投手となったのは、フェンウェイパーク初登板となったマリナーズ・菊池雄星投手(29)。菊池は初回、二死からボガーツに2ランを許すなど要所で精彩を欠き、4回2/3を投げ6安打5失点(自責5)、与四球3、奪三振1だった。

 試合後、オンライン会見に応じた澤村は「チームが連敗していたので、勝てて良かった。いかにストライクゾーンにどんどん投げ込めるかにフォーカスしている」と振り返った。スライダーとスプリットでそれぞれ3つの空振りを奪う力投に魅せられた地元ファンは拍手、手拍子で右腕を後押しするようになっていた。

 練習など準備段階では「いろいろ考えますけど、試合ではとにかく打者と勝負する。その一点だけ」と、マウンドに上がれば一球一球全力で腕を振り続けている。

 メジャー初勝利を挙げたことに「うれしいです」と、はにかむような表情で話した澤村だったが、手にしていた記念の品はウイニングボールではなく、コーラ監督のサインが入ったこの試合のメンバー表だった。

 実は〝ウイニングボール〟となるはずのボールは、27個目のアウトとなる遊直を捕球したボガーツ遊撃手からアローヨ二塁手、デバース三塁手へとトスされ、やがてマウンド後方で勝利のハイファイブをしている抑えのバーンズ投手へと渡ったものの、その時は澤村のメジャー初勝利に誰も気づくことはなく、結局、ボールは手にしていたバーンズからスタンド前列にいた球団スタッフ、そして左手に缶ビールを手にしていた女性ファンへと手渡されてしまっていた。

 澤村は「(洗濯用)カートに乗せられ、(炭酸水など)いろんなものをかけられた」と、クラブハウスでチームメートから祝福されたことを明かした。ウイニングボールは届かなかったが、チームメートの熱い思いが届けられる、うれしいメジャー初勝利となった。