田中が本紙に語った「投球フォーム改造」

2014年08月20日 05時30分

【ニューヨーク18日(日本時間19日)発】右肘靱帯の部分断裂で故障者リスト(DL)入りしているヤンキースの田中将大投手(25)が、現在取り組んでいる投球フォーム改造について語った。右肘の負担をより減らすためのマイナーチェンジはテークバックの形や投球開始時の“構え”を変えるなど、目に見える変更点が多い。リハビリメニューをこなす中で何を意識しているのか。そして、目指す完成型とは――。“タナカの考え”を聞いた。

 田中は16日(同17日)にレイズの本拠地トロピカーナ・フィールドで、故障後初となるブルペン投球を行った。そのマウンドはまるで新投球フォームのお披露目会だった。右肘への負担を減らすために、右腕の軌道に修正を加えたようでテークバックがコンパクトに見える。本紙が気になったのはノーワインドアップで投げる際の“構え”だ。これまでとは明らかに違っていた。

 DL入りする前までは捕手に正対していたのに対し、体をやや三塁方向に向けて投球動作を開始する形に変更したのだ。田中によれば、この形に至ったのは自然の流れだったという。

「(右腕の)テークバックに入る前で、今一番しっくりくる形ということです」

 故障直後から投球フォーム改造の必要性を説いていた田中は投球再開後のキャッチボールなどで、右腕の動きを常に意識してきた。特にボールをリリースするまでのテークバックを重視。リハビリ中はこれまで3度にわたって投球中の様子を動画撮影しチェックしたが、全て投球動作の背後、つまり右腕側から撮った映像だ。いかに負担をかけずに、スムーズにテークバックに入れるか。今回披露した新たな“構え”はそのポイントまでの動きを逆算して誕生した。

 だが、これで完成としないのが、向上心の塊であるこの男。最終的にたどり着こうとしているのはフレキシブルな投球フォームだという。

「僕はその日によってしっくりくるのが変わるんですよね。(走者なしでも)セットで投げることはないですけど、前の形(捕手と正対するノーワインドアップ)に戻すこともあり得ますよ」

 その日の体調に応じて形を変える――。そんな理想を田中は今季、セットポジションで実践してきた。開幕時から胸の前にグラブをセットする昨季と同じ形を取っていたが、メジャー初完封を飾った5月14日のメッツ戦(シティ・フィールド)からはおなかの前に変更。さらに、右肘を痛めた先月8日のインディアンス戦(プログレッシブ・フィールド)では再び胸の前に戻した。

 今季の試合後、田中は勝利投手になったにもかかわらず何度も「全然、良くなかったですね」と不満を口にしている。その言葉に加えて、度重なる変更を目の当たりにすると、セットポジションでの投球が定まっていないようにも見える。

 だが、田中によれば、むしろ逆だ。その時の体と相談して“しっくりくる”方を採用してきたのだという。新フォームになった現在は胸の前でセットして投げているが、これについても「しっくりくる方に変えるだけです」と柔軟な姿勢だ。

 田中の頭の中には常に数種類の投球フォームが存在する。これまで試合のマウンドでは、その日の調子によってフォームを変更することで安定した結果を残してきた。そこに、メジャーの中4日の登板間隔や右肘の故障など初の経験が加わり、さらに進化。投球を開始する際の“構え”さえも変更の対象となった。

 9月上旬のメジャー復帰を目指す田中は19日(同20日)にも平らなグラウンドでのキャッチボールで変化球を解禁する。“引き出し”を増やした田中がどんな投球を見せるのか。今からその日が楽しみだ。