【フロリダ州セントピーターズバーグ14日(日本時間15日)発】右肘靱帯の部分断裂で故障者リスト入りしているヤンキースの田中将大投手(25)の復帰登板に暗雲が垂れ込めてきた。といっても、患部に再び異常が発生したわけではない。問題はチーム状況だ。
ヤ軍は13日(同14日)のオリオールズ戦に3―5で逆転負け。松ヤニによる不正投球で米大リーグ機構から10試合の出場停止処分を科され、その後故障していたピネダが4月23日以来となる先発で復帰し、5回1失点と好投したものの、今後は不透明。一方で、6回から登板したセットアッパーのベタンセスに3回を投げさせるなど、ベンチも迷走している。
前日の時点でヤ軍は61勝58敗、ア・リーグ東地区首位のオ軍から8ゲーム差の3位。ワイルドカード争いではなんとか5位に踏みとどまっているが、8月中に貯金を増やせないようではプレーオフ進出は厳しい。
田中の復帰は早くて9月第1週以降と見られ、ジラルディ監督も「9月には戻ってきてほしい」と希望している。だが、ヤ軍がそれまでプレーオフ争いに踏みとどまっていられるかは微妙だ。
万が一、9月初旬にもプレーオフ進出が絶望的になった場合、球団が“無理して投げさせる必要なし”と判断して、田中の復帰を見送る可能性もある。そう指摘する米メディアは少なくない。そうなれば「僕自身、自分のコンディションを整えることが一番。このまま進めば(登板の)チャンスはあると思う」と今季中の復帰をモチベーションにしている田中はショックを受けるだろう。
田中はオ軍戦終了後にチームのチャーター便でセントピーターズバーグに移動。この日はキャッチボールを行うこともなく、久々の完全オフで体を休めた。15日(同16日)には、レイズの本拠地トロピカーナ・フィールドで、平らなグラウンドでの投球練習を行う予定だ。エースは今季中に復帰できるのか。ヤ軍がカギを握っている。