阪神は6日のヤクルト戦(神宮)に6―7で敗れた。首位・巨人も敗れたためゲーム差は1・5のままだが、悲願の優勝を果たすためにはブルペン陣の再整備など課題は多い。そんな中、“救世主”として、あの男への期待が高まっている。

 3―7とリードされた9回、阪神はヤクルト・バーネットを攻めたが、あと一歩届かず敗戦。和田監督は「(9回の追い上げがあるかないかで)全然違う。向こうの打線の状態がいいから、どう抑えるかというところで配球も考え直さないといけない。(配球を)読まれている感じもある」と悔しそうに話した。首位・巨人とは1・5ゲーム差。今後もシ烈な争いが続きそうだが、そんな中、阪神サイドは、メジャー昇格を果たしたばかりのカブス・藤川球児投手(34)にラブコールを送っている。

 どういうことか。実は阪神には、2012年まで在籍していた藤川がかわいがり、アドバイスなどを受けて成長した投手が多い。鶴直人(27)、筒井和也(32)、渡辺亮(32)、玉置隆(27)らがそうで、投球フォームや体作りのみならず、精神面などで“藤川イズム”を注入され、結果を出していた。それら“球児チルドレン”たちに対して、今後、藤川に「電話やテレビ電話で指導やアドバイスをしてもらいたい」(チーム関係者)という。

 現在の虎リリーフ陣は安藤から福原、呉昇桓とつなぐ「勝利の方程式」は確立しているものの、相手にリードを許している展開や勝利の方程式につなぐ駒に欠いている。5日のヤクルト戦でも打線が20点を奪う猛攻を見せたが、リリーフ陣がヤクルト打線の追い上げに遭って安藤、福原をつぎ込むことになり、和田監督も「使いたくなかった(セットアッパーの)投手を使った」と嘆いたばかり。さらにリリーフ陣の高齢化を指摘する声も後を絶たない。

 ヤンキース3Aから自由契約になっていた建山を獲得するなど策は講じてきたが、その建山もこの日、6回一死二塁で登板するとバレンティンを打ち取った後、雄平に右前適時打でダメ押しを許すなどピリッとせず、ここまで4試合で防御率は7・36。そこで注目を集めているのが、現在二軍の“球児チルドレン”たちだ。

 いずれも12年シーズン終了後に藤川がメジャーに移籍した途端、力を発揮できなかったり、伸び悩む状況が続いているが、潜在能力は高い投手ばかりで、きっかけひとつで変わるとみられる。再び、戦力になれば虎にとっては大きいだけにチルドレン復活のために藤川に“臨時コーチ”をお願いしたいというわけ。これまでは藤川自身が昨年6月に右肘靱帯の修復手術を受け、リハビリ中だったこともあって、阪神サイドはそういう話も控えてきたそうだが「メジャーに復帰した今ならば相談もできる」と球団関係者は話した。

 05年の阪神優勝の立役者となった火の玉ストッパー・藤川が、14年シーズンは海を越えたアドバイスで貢献となるのか。虎は期待している。