このままでは「夢のメジャー」が消滅しかねない。18日の「マツダオールスターゲーム2014」の第1戦(西武ドーム)に先発し、3回無失点と好投した広島・前田健太(26)にショッキングな情報が浮上した。前日、11月開催の日米野球で日本代表・侍ジャパンのメンバーに選出されたことにメジャー側が過敏に反応しており、不信感を募らせているというのだ。その背景に迫った。

 この日のマエケンは初回から全開モードだった。2回までを三者凡退に抑え、3回には2安打と1四球で二死満塁のピンチを招くも、オリックス・糸井を中飛に打ち取って乗り切った。3回を無失点で投げ終えた右腕は「2回をパーフェクトだったら(3回も)行こうということだった。0点に抑えられたから良かったが、3回にちょっとバテましたね。四球で満塁にしてしまいましたから…」と反省の弁。それでも全セの零封リレーを演じる立役者となり、敢闘選手賞100万円をゲットしたのだから、やはり「さすが」のひと言に尽きる。

 しかし、そんなマエケンの姿に複雑な思いを抱く人物たちがいる。米メジャーリーグの関係者たちだ。今オフの前田はポスティングシステムによるメジャー移籍が濃厚視されていることから、水面下で複数のメジャー球団が獲得を前提とした調査を開始している。「上限2000万ドル(約20億円)の入札球団が続出し、争奪戦は必至」とも目されているが、その一方でマエケンのメジャー移籍を危険視する声が出ているのだ。

 一体なぜなのか。それは11月の日米野球に出場する日本代表・侍ジャパンの第1次選考メンバーが17日に発表され、その6選手の中にマエケンの名前があったから。これはメジャー側からしてみれば耳を疑う発表で「マエダは本当にメジャーに来る気があるのか?」と思われても無理のない内容だった。

 発表会見の席上、侍ジャパン・小久保監督は「過去の日米野球はどちらかといえば親善試合だった。でも、今回は真剣勝負で勝ちにいく。17年WBCへ強化試合の意味合いが強い」と強調。この小久保発言を伝え聞いたメジャー関係者は、あきれてこう続けた。

「今シーズン終了後にメジャーへ移籍する可能性の高い選手が、その直前の代表メンバーに名を連ねるのはいかがなものか。ましてマエダが所属する広島は現在Aクラス。このままポストシーズンでも勝ち残って、日本一になる可能性がある球団だ。ポストシーズン、さらに日米野球でもフル稼働するつもりなのか…」

 そもそもマエケンが本気でメジャー移籍を目指しているのなら、侍ジャパンのユニホームを着ることは二の次として考えるべき。故障のリスクを考えたら、来年11月の「プレミア12」はもちろん、17年の「第4回WBC」も、移籍先のメジャー球団からの出場OKはまず出ない。出られないWBCの強化試合に今、リスクを冒して出る意味がどこにあるのか。これではメジャー移籍への“本気度”を疑われても仕方がない。

 それでなくてもメジャーは今、ヤンキース・田中の故障離脱で敏感になっている。

「マエダもタナカと同じように“投げたがる”タイプなのかもしれない。そういう日本でのツケがたまって、タナカのようになってしまう危険性もやはり考えなければいけない」(前出のメジャー関係者)

 少なくともマエケンが代表辞退でもしない限りは、メジャーの不信感はぬぐえそうになさそう。だが「田中の悪夢」を二度と見たくないのはメジャー球団だけでなく、日本のファンも同じだ。マエケンの今後の決断に注目が集まっている。