レッドソックス・澤村拓一投手(32)の「高速スプリット」に米国内で大きな注目が集まっている。

 MLBでは日本人投手の活躍によって定番となりつつある球種だが、それでもNPBを経験していないメジャーリーガーの間では故障のリスクが大きいとされ、いまだ敬遠されがちだ。だからこそ日本人メジャーリーガーの〝専売特許〟と言われ、それを得意球として自在に駆使する澤村も例外ではない。

「澤村の高速スプリットはメジャーでもトップクラスの〝魔球〟になり得る可能性を秘めている。うまくハマれば、彼はレッドソックスで最高のステータスを確立できるかもしれない」とア・リーグの極東スカウトは太鼓判を押している。

 近年の日本人メジャーリーガーでも多くの投手たちがスプリットを得意にしてきた。同じリリーバーとして直近の例で挙げられるのは、澤村と入れ替わって日本球界復帰を果たしたオリックス・平野だ。平野もMLB移籍1年目の2018年シーズン、決め球のフォーク、またはスプリットの〝挟む系〟の変化球を主武器にメジャーリーガーの強打者たちを翻弄。スプリットが平野の成功の要因となったのは、MLB関係者の間でも広く知られているところだ。

「その平野のスプリットの平均球速は83マイル(約133キロ)前後。昨季ロッテでプレーした澤村はスプリットも93マイル(約150キロ)を計測しており、メジャーリーガーたちを制圧させ続けていた平野よりも実に10マイル(約16キロ)前後速い」(前出のスカウト)

 ちなみにMLBのリリーフ投手の中において昨季、スプリットの平均球速が90マイル(約145キロ)を超えたのはメッツの右腕ジェウリス・ファミリアのみ。こうしたデータと照らし合わせても澤村の高速スプリットはやはり抜きん出ている。

〝魔球〟を武器に期待通りの活躍を成し遂げ、ボストンで旋風を巻き起こせるか。