【ニューヨーク26日(日本時間27日)発】ヤンキースの田中将大投手(25)に対する全米での注目度は、米国代表が決勝トーナメントに進出したサッカーW杯ブラジル大会に負けていない。圧倒的な成績で周囲の注目度、評価はともにうなぎ上り。それに比例するように、ヤ軍のエースとしてこれまで以上に重圧も増える一方だが、右腕は平常心を保ち続けている。その秘けつは何なのか。ヤ軍のエースは“背負いすぎない男”になることを説いた。

 前日の時点で田中はメジャー単独トップの11勝(2敗)、勝率8割4分6厘、ア・リーグトップの防御率2・11、そしてメジャーデビューからクオリティースタート(QS=6回を自責点3以内)は15戦連続。QSの達成率100%は一人だけだ。

 そんな圧倒的な成績を残している右腕には辛口で知られるニューヨークのメディアも大絶賛。スポーツメディアだけでなく、世界有数の経済誌である「フォーブス」まで電子版で「新人王、ア・リーグのサイ・ヤング賞、MVPを1シーズンで獲得する選手になるかもという議論もある」と田中特集を組んだほどだ。ヤ軍のエースはこの日、サッカーW杯ブラジル大会で1次リーグを突破した米国代表とともに“メディアジャック”している。

 ところが、当の本人は平常心を貫く。今季は3度もチームの連敗を止めているが、むしろそういった局面の方がより自分の仕事に集中できているような印象だ。

 プレッシャーがかかればかかるほど力を出せる秘けつは何なのか。強靱なメンタルを持ち続けることについて、田中はこんな話をする。「自分の背負える以上のものは背負わないことです。自分のできる範囲のことを最大限にやるほうがいいんじゃないかなって僕は思いますね」

 絶対に負けられない試合や、チームの分岐点となる試合などで、エースは結果を求められる。だが、さまざまな要素を背負いすぎては空回りする可能性は高い。あえて肩の力を抜くことで“背負いすぎない男”になり、マウンドに上がっているという。

 今季16戦目は28日(同29日)に本拠地ヤンキー・スタジアムで行われるレッドソックス戦。敵地で白星を飾った4月22日以来の対戦となる。ヤ軍の最大のライバルを初めて地元で迎え撃つだけに、いつも以上に大きな注目を集めそうだ。

 この日、田中はニューヨーク市内の自宅で完全休養を取った。今回も自分の役割に集中して2試合ぶりの白星となる12勝目を目指す。