【ニューヨーク3日(日本時間4日)発】ヤンキースの田中将大投手(25)がメジャー初の勲章を手に入れた。米大リーグ機構がこの日、5月の月間MVPを発表し、ア・リーグの投手部門で田中が初選出されたのだ。日本選手が新人で受賞したのは1995年6月の野茂英雄投手(ドジャース)以来。練習後に会見した右腕は今後、さらなる活躍を誓った。

 いまやヤ軍のエースとして全米のメディアとファンが認める田中がア・リーグの5月の「ピッチャー・オブ・ザ・マンス」に選出された。4月も5試合に先発して無傷の3勝、防御率2・27をマークして候補に入ったものの、4勝1敗、防御率1・76のアスレチックス・グレイにさらわれている。悔しい思いからすぐに“リベンジ”を果たした。

 日本選手で同賞を受賞したのはこれまで4人。95年6月、96年9月の野茂、98年5月と99年7月に伊良部秀輝投手(ヤンキース)、2004年8月にイチロー外野手(当時マリナーズ、現ヤンキース)、07年7月に松井秀喜外野手(ヤンキース)が受賞している。投手では21世紀に入ってからは田中が初だ。

 5月は6試合に先発し、43回を投げてメジャー初完封を含む5勝(1敗)を挙げ、防御率1・88。20日(同21日)のカブス戦で日米通じてのレギュラーシーズンの連勝記録は「34」でストップしたものの、クオリティースタート(6回を自責点3以内)を開幕から唯一継続するなど、抜群の安定感が評価された。

 突然の朗報に米メディア、日本メディアのそれぞれの会見に対応した田中は「自分自身で選ばれると思っていなかった。ほかにもたくさんいい投手はいますから。聞いたときは『ああ、取れたんだ』と。うれしいです」。淡々と話すなかで、時折笑顔をのぞかせた。

 日本の月間MVPは最多受賞(12回)、13年には5月から5か月連続で選ばれている。年間5度、5か月連続はともに最多だ。メジャーでも“月間MVP男”として新たな勲章を獲得したわけだが、まだまだ満足はしない。「こちらではなかなか取ることが難しい賞だと思いますけど、これから何回も取れるように。そういう投球を繰り返しできるように頑張っていきたいです」。エースはさらなる活躍を誓った。

 この日はヤンキー・スタジアムで行われたアスレチックス戦の試合前にグラウンドで練習。キャッチボール、ランニング、ウエートトレーニングで汗を流し、5日(同6日)に予定されるア軍戦の先発に向け調整した。

 メッツ・松坂、レンジャーズ・ダルビッシュ、マリナーズ・岩隈ら、海を渡った日本のエースたちも成しえなかった快挙をデビュー2か月で達成した田中。世界一の投手へ、着実に階段を上っている。