【イリノイ州シカゴ19日(日本時間20日)発】ヤンキース・田中将大投手(25)が日本時代に会得した“カメレオン投法”で開幕7連勝を狙う。20日(同21日)に敵地リグリー・フィールドで行われるカブス戦に先発予定の無敗右腕はこの日、同球場で調整。メジャーで初の再戦となるカ軍打線をどっしりと迎え撃つ覚悟を語った。

 田中は18日(同19日)に行われたパイレーツとのダブルヘッダー終了後、チームのチャーター便でニューヨークからシカゴに移動。この日は午前中からリグリー・フィールドでキャッチボール、ランニングなどで汗を流した。

 開幕から8試合すべてクオリティースタート(6回以上を投げて自責点3以下)で無傷の6連勝、防御率も2・17と安定感は増すばかり。そんな田中が試合を作れる理由は試合中の修正能力にある。頭の中には常に数種類の投球フォームが存在し、試合中に投げながら、その日一番しっくりくるフォームを選択している。

 左手の使い方なのか、それとも下半身の使い方なのか――。時にはバックスクリーンに映るリプレー映像を確認しながら、最適なフォームを探る。初めて沢村賞を獲得した2011年シーズンに「もう、投球フォームを気にするのはやめました」と話したこともあったが、その後に“カメレオン投法”を確立。故障などなく、体が万全な状態であれば毎回、フレキシブルに対応できるという。

 日本で続けてきた投法をメジャーの舞台でも継続できている。田中は「メジャーで一番調子が良かった」と話した14日(同15日)のメッツ戦について、こう語った。

「この間の(フォーム)もそんな(良く)なかったんですよ。投げながら『今日はこれでいこう』って感じだったんで。まあ、それがハマったから、いい感じで投げられたというのはあると思います」

 ここまでの田中は開幕から本調子でないと言いながら結果を残してきた。そんな中でも完封できたことで、マウンドの硬さやボールの大きさなど、日本と環境の違うメジャーでも“自分の形”を見いだすことに成功した。「自分の中でサイクルみたいなもんもあるんで。それに自分がうまく合わせられればいい」と話すように、田中は米国でも自身の調子の波をつかんでマウンドに上がれているのだ。

 メジャーで初めて再戦となるカ軍との対戦。前回は8回2安打無失点に抑えたが、今度は相手もリベンジを期して対策を練ってくるだろう。それでも田中には“カメレオン投法”がある。変幻自在な無敗男はどこまで“記録”を伸ばせるか――。