【ニューヨーク発】ヤンキースの田中将大投手(25)が14日(日本時間15日)、敵地シティ・フィールドでのメッツ戦に先発し、メジャー初完投初完封勝利を挙げた。2002年に石井一久(ドジャース)が作った、日本人投手の初登板からの連勝記録「6」に並んだ田中。開幕から8試合に先発して6勝無敗のロケットスタートを決めている。その要因は何なのか。直撃すると、意外な答えが返ってきた――。

 田中はこれで8試合に先発して6勝無敗と文句なしだが、「開幕から納得のいった試合はない」と常に高みを見据える。とはいうもののメジャー1年目で、この開幕ダッシュはすごすぎる。

 なぜ好成績を残せているのか。田中によれば“メジャーだから”うまくいっている部分があるという。「スプリングキャンプで1か月以上、同じところで過ごしたことなんてないですもん。日本ではオープン戦とかで家に1か月ぐらい帰れなかったし。それはすごく楽でしたね」。2月11日から3月29日までフロリダ州タンパに滞在した。

 楽天時代は2月の沖縄春季キャンプを終えると、3月は日本列島を北上しながら約1か月にわたってオープン戦を行う。自宅のある仙台に帰れるのはシーズン開幕直前だ。キャンプ地にまい夫人が訪れたこともあったが、自宅の生活とは程遠く、ホテル暮らしによる疲労は相当なものだったという。

 田中はもともと、グラウンド外の生活で極限まで“ストレスフリー”を追い求める男。たとえ、自宅と球場の往復という毎日でも「家の中でリラックスできればOK」というタイプだ。普通の選手ならば、練習時間の短さ、球数制限、登板間隔など、慣れないメジャーの環境に戸惑いを見せるものだが、田中はむしろ逆。スプリングトレーニングでタンパに滞在し続け、練習後にはまい夫人と夫婦水入らずの生活を送れたのは非常に大きかったという。

 じっくり腰を据えて練習に取り組めたことで、コンディション調整に苦労することなくマウンドに上がれている田中。適応力だけではなく、メジャーの水も合っているようだ。