田中にクールな発言も…素顔は熱い男

2014年05月18日 18時00分

元局アナ 青池奈津子「メジャー通信」

 

【アダム・ジョーンズ(オリオールズ)】田中将大に対する発言から、日本のファンには“偏屈者”のイメージがあるアダム・ジョーンズ。しかし、私は大好きな選手の一人である。田中の本拠地デビュー戦となった4月9日(日本時間10日)のヤンキース対オリオールズ戦終了後、その田中について質問攻めにあった彼はヤ軍地元紙の「ザ・スターリジャー」にこんな発言を口にした。

 

「田中と対戦したからってパーティーを開けばいいのかい? 彼は、新たなピッチャーの一人にすぎない」

 

 翌10日には同紙の電子版でこのアダムの発言が大きく報じられたから、知っている人も多いはずだ。確かに文字で読むときつく感じてしまうかもしれない。しかも話す時は真顔になりがちな彼のことだから、聞いている記者は、さぞ冷ややかに映ったことだろう。

 

 でも、これは“なぜ、まだMLB1年目の田中ばかりがクローズアップされるのか”というアダムなりの意地とプライドを表に出したストレートな発言だったのだと思う。素顔の彼は決して悪い人間ではなく実直で、とても優しいからだ。これまで何度か取材したことがあったが、いつも「どうしようかな」「え、今?」などと言いながらも、ちゃんと時間を作って答えてくれる。

 

 そんなアダムにオフの過ごし方を聞いてみたことがあった。

 

「それは内緒だよ。俺は野球選手だからね、プライベートとは分けているんだ。最近はツイッターでつぶやく選手も多いけど、俺は野球選手ってことだけ知ってもらえればいい」

 

 そう言いながらも実はハンティングが趣味だったり、プロレスが好きで知人からWWEのチャンピオンベルトをもらってロッカーに置いていることなども私は知っている。

 

 そのベルトについて質問すると「これがクラブハウスにあるとクール。皆、子供のころ、プロレスを見るだろう? 俺たちはある意味で大きな子供だから、これを見ると子供のころに戻った感じだね」。

 

 さっきまで「野球の話しかしない」と言っていたことを、もう忘れているようだ。やっぱり根が正直なのだろう。

 

 先日は、フィールドに乱入して捕まったファンに向かって行き、罵声を浴びせていた。わざわざ怒りに行く選手など前代未聞。試合後の囲み取材でも「あれは本当にバカだ。もっときつい処罰を与えた方がいい」と怒りを隠さなかったが、これに賛同する選手も多い。「野球を一生懸命やっている自分たちのことを考えてくれ」というアダム流の真っすぐなアプローチだ。

 

 チームメートだったら、こんなふうに熱くなってくれる彼のことを嫌いになるはずがない。

 

☆アダム・ジョーンズ=1985年8月1日生まれ。28歳。カリフォルニア州サンディエゴ出身。2003年にマリナーズへ入団。06年7月にメジャー初昇格。08年2月にオリオールズへトレード移籍。外野手レギュラーの地位を確保した。09年に球宴初選出。中堅手としてゴールドグラブ賞も09年、12年、13年の3度獲得した。昨季は自己最多の33本塁打、108打点をマーク。今季もチームの主砲として活躍中。