アスレチックスは4月30日、3Aサクラメントに所属していた中島裕之内野手(31)を2Aミッドランドに降格させたことを発表した。

 中島は20日のタコマ戦で左ヒザに自打球を当て、24日から7日間の故障者リスト(DL)入り。この日から復帰予定だったが、前日にロドリゲス投手がメジャーから3A降格となりあおりを受けた格好となった。

 しかし、今季の中島は3Aで12試合に出場し打率1割2分8厘、4打点と結果を残せていなかったのも事実。2年総額650万ドル(約6億5000万円)契約最終年の今季は「日本復帰という選択肢はない。米国一本で勝負する」と決意し念願のメジャー昇格を目指しスタートしたシーズンだった。

 一方、古巣の西武は1日の日本ハム戦に5―9と逆転負けし両リーグ最速の20敗到達。前身の西鉄以来43年ぶりとなる8カード連続負け越しで借金11と所沢移転以来最大の危機に瀕している。

 それだけに球団は中島の復帰を心待ちにしているのだが、本人の心情を知るだけに強行帰国を迫るわけにもいかない。球団幹部は「中島は気持ちでプレーするタイプの選手。あいつはヤンキースのオファー(2011年オフのポスティング入札)を蹴って1年待ってまで向こうでプレーしたかった。その気持ちを知っているだけに変な横やりを入れたくない」と現在も静観の姿勢を崩していない。

 中島の今後について、中島の関係者は「今もその思い(メジャー昇格を目指す)に変わりはないが、状況が変わったので一度話はする」という。だが、メジャー昇格の可能性は極めて薄い。ア・リーグ西地区首位と好調で球団の支出を少しでも削減したいア軍の本音は、中島側の契約破棄申し出を待っている状況だからだ。

 西武復帰はあるのか、それとも…。中島の決断が注目される。