【マサチューセッツ州ボストン発】米大リーグ機構は23日(日本時間24日)のレッドソックス戦で違反物資の松やにを使った不正投球を行ったヤンキースのマイケル・ピネダ投手(25)に10試合の出場停止処分を科した。ピネダは謝罪し、処分を受け入れる意向を示した。復帰は5月5日(同6日)のエンゼルス戦から可能となる。ヤ軍の台所事情はさらに厳しくなり、田中将大投手(25)が中4日で連投する可能性が出てきた。

 一目瞭然だった。フェンウェイ・パークがどよめいたのは前夜の2回裏だ。二死走者なしでサイズモアの打席中にレッドソックスのファレル監督が抗議。デービス球審がピネダの首の右側を触ったところ、茶色の物質、松やにが確認され、退場を宣告した。ピネダは10日(同11日)のレッドソックス戦でも右手に松やにのような物質を付けていると中継したテレビ局が伝えて、騒動になった。このときは土と主張し、レッドソックスが抗議しなかったこともあり、疑惑止まりだった。

 野球規則では異物を体に付けること、異物をボールに付けることを投手に禁じている。ただ、メジャーではある程度は許容しており、露骨でなければ相手チームが抗議することはほとんどない。

 24日(日本時間25日)のレッドソックス戦前に会見したピネダは「大きな間違いを犯した。申し訳なく思う」と謝罪し、処分を受け入れる意向を示した。

 ヤ軍にとってここまで2勝2敗、防御率1・83と安定していたピネダの10試合離脱は痛い。ヤ軍の先発陣では開幕3戦目に投げた27歳右腕のノバについて球団はこの日、通称トミー・ジョン手術といわれる右肘の靱帯修復手術を29日(同30日)に受けることが決まったと発表した。今季中の復帰は絶望だ。

 こうなるとここまで先発した4試合が全てクオリティースタート(先発して6回以上で、自責点3以下)で、3勝無敗、防御率2・15をマークしている田中への負担が大きくなりそうだ。

 次回登板は中4日で27日(同28日)のエンゼルス戦に決定。その次は中4日での5月2日(同3日)のレイズ戦が濃厚。場合によっては次の次も、中4日で7日(同8日)のエンゼルス戦の可能性も…。

 田中はキャンプ中から中4日で連続して試合で投げたことがない。3月6日のフィリーズ戦(3回で41球)→同11日の実戦形式の打撃練習(4回で63球)→同16日のブレーブス戦(4回1/3で74球)は中4日だが、イニングは短く、球数も少ないことから参考にはならないだろう。首脳陣はメジャー1年目の右腕に配慮してきた。しかし、今回はチーム事情優先になりそう。

 田中はメジャーでの戦いを決意した時点で中4日登板の連続は覚悟しただろう。精神面では問題ない。慣れない環境での適応力はすでに証明している。この日、田中はブルペンで28球投げた。次回が中4日ということもあり、少なめだった。

 全米に旋風を巻き起こしている田中。不安を吹き飛ばす投球を続けてくれるはずだ。