【ニューヨーク15日(日本時間16日)発】ヤンキースの田中将大投手(25)が先発予定だったこの日のカブス戦は、降雨のために午前中に早々と中止が決定。16日(同17日)にダブルヘッダーが行われることになり、田中は同午後1時5分(同午前2時5分)開始予定の第1試合に先発することが発表された。メジャー初のスライド登板はコンディション面で難しいマウンドになりそうだが、メジャーの厳しい状況を楽しんでいる右腕は大歓迎だ。

 試合中止の報を受けた田中は午後1時過ぎに球場入りすると、ロスチャイルド投手コーチとキャッチボールなど軽めの練習を行い球場を後にした。メジャー初のスライド登板。それもこの日のナイターから16日はデーゲームでの先発となり、コンディションの面では難しそうだが、今の田中には苦にならない。なぜなら、次から次へと出現する強打者との対決に、久々に“勝負の快感”を味わっているからだ。

 昨年、無敗街道を突き進む田中に、他球団は「田中だから」と及び腰になっていた。しかし、メジャーの打者は7年総額1億5500万ドル(約158億円)の破格契約を結んだ田中に牙をむいてくる。前回先発したオリオールズ戦では試合前日に4番・ジョーンズから「24勝0敗は日本での話。試合が終われば我々が日本の打者より上と分かるだろう」と挑発された。

 今回、対戦するカブスは“因縁”の相手。争奪戦ではヤ軍に次ぐ、6年総額1億2000万ドル(約122億3000万円)を提示したものの、敗れている。打者陣から表立った“口撃”はないが、KOを誓っていることは想像に難くない。今後も包囲網との戦いになるだろうが、そんな状況は願ってもないことだ。

 田中は「能力が高いバッターがたくさんいるなかで自分がどういうふうにして抑えなければいけないかを考えるのが楽しいし、そういう努力をしていくなかで自分が成長していける部分もあると思う」と目を輝かせる。

 そしてこう力を込めた。「日本とアメリカの野球を比べるつもりもないし(どちらの)野球が強いとか弱いということでもないですが、単純にレベルはこっちの方が高い。(メジャー移籍意思を表明した)あのときも言ったことですけど、僕は日本でやってたよりも、さらに上のステージで野球をやりたいんです」

 この日は残念ながら“水入り”となったが、より勝負に飢えた田中がカブス打線相手にどんな投球を披露するのか楽しみだ。