前年覇者の余裕ということか。勝率5割ラインをうろつき現在3位の楽天・星野仙一監督(67)が意外(?)なほど悠然としている。15日のソフトバンク戦(ヤフオク)は先発の美馬が5回途中7安打4四球3失点とピリッとせず試合も1―4と完敗だったが、闘将は怒りを爆発させるどころか「(美馬は)よく3点で済んだよ」と穏やかな表情。それも無理に平静を装っているというふうでもない。

 なかなか貯金を増やせない現状でも冷静でいられるのは、V2に向けたシナリオをしっかりと描けているからだろう。闘将は先の展開まで予測した上で「オレにとっては(負けても5割の)貯金1が勝率5割の状態だけど、まあそれぐらいで上に離されないようにすればいい。パはいずれダンゴになる。対戦が2巡して30試合が終われば戦力分析も十分にできる。勝負はそこから」と話す。

 優勝した昨季も4月は借金3だった。勝率を5割に戻したのが、開幕から32試合目の5月8日のこと。無敗のエース・田中(現ヤンキース)の存在感の大きさと最終的な2位以下とのゲーム差から圧勝したイメージを持たれがちだが、首位に立ったのも70試合目の7月4日だった。

 早くも開幕投手を中5日で回しているセの王者とは違う。闘将は“仕掛けどころ”まで「忍」の一文字を貫くつもりだ。