メジャー初登板で記念すべき日米通算100勝目を達成したヤンキース・田中将大投手(25)が、“ある症状”を抱えながらメジャー初勝利を挙げていたことがわかった。初登板した4日(同5日)のブルージェイズ戦では、序盤に3失点しながらも抜群の自己修整能力を見せ7回を投げ抜いた。そんな強い精神力を持っているはずの田中を襲っていたものとは――。


 この日の田中は午前10時過ぎに球場入りすると、軽いトレーニングのあとブルペンで28球を投げて次回登板する9日(同10日)のオリオールズ戦に備えた。


 デビュー戦で「8奪三振以上、無四球」を記録したヤ軍投手は49年ぶりで、メジャー全体でも2000年以降ではクエト(レッズ)、ストラスバーグ(ナショナルズ)に続いて3人目の快挙。本拠地ヤンキー・スタジアムでの初登板を前に田中フィーバーはとどまることを知らない。だが、その前に解消しなければならないことがある。それは最近、一般人だけでなく芸能人にも広くまん延している“タモロス”。実は田中もそれを感じている一人だったのだ。


 タモロスとは、タモリの司会で32年間続いた国民的人気番組「笑っていいとも!」が3月をもって終了したことによって起こる喪失感のこと。生まれる前から番組が放送されていた田中も、常に平日の正午に「いいとも」がテレビで流れているのが当たり前の状態で生活した。


 田中自身も2010年の1月6日に「テレフォンショッキング」にゲストとして出演。指名を受けた当時のチームメートだった、マリナーズ・岩隈から「開幕投手は譲らないよ」のメッセージをもらったほか、20歳を過ぎても身長が伸びたことや、趣味のゴルフの話などで盛り上がった。


 また同番組出演後に新宿のスタジオアルタで取材に応じた際、田中は「いつまで“ハンカチ世代”って言われるんでしょう? 坂本(巨人)に前田健(広島)、プロでも同じ年の選手に負けてはいけないと思っています。トップでいたいです」と発言。秋のドラフトで早大・斎藤ら同世代の大学生選手が指名される年だったことを受けての世代最強宣言で、球界を代表するエースに成長する上で、ひとつのきっかけになる出来事だった。


 さらに今年1月に大ファンを公言している「ももいろクローバーZ」が出演した際には「ヤンキース・田中将大」として初めて花輪を贈るなど、一視聴者というだけでなく、なにかと縁のある番組だった。


 そうした経緯もあって、アメリカでも「『いいとも』は、テレビで見ていましたよ」という田中。キャンプ中は日本の正午が夜の11時で、ちょうど就寝前のくつろぎの時間とあって、ネットなどを通じて“うきうきウオッチング”していた。ところが開幕と同時に番組が終了してしまったことで、喪失感とともに生活のルーティンにもちょっとした影響を与えたという。


 3月31日の最終回では、“別れ”を惜しむかのように、放送開始の日本時間正午に合わせてツイッターで「笑っていいとも!」とつぶやくなど“タモロス”の兆候を見せていたとはいえ、まさかそれほど深刻な状態だったとは…。今では「(タモロスは)大丈夫です」と話す田中だが、前例のない症状だけに完全に回復できるかどうかは本人さえも不明なはず。果たして田中は新たに出現した壁を乗り越えられるのだろうか。