大リーグ公式サイトは18日(日本時間19日)、『三振を奪った最も遅い20年(シーズン)の投球』というユニークな特集を行い、4人の投手による衝撃の5球を映像付きで紹介した。
最も遅かったのはメッツのトッド・フレイジャー内野手がブレーブス戦の9回、13点ビハインドの場面で投げた55マイルのナックルボール。右打者のデュバルは手が出ず見逃し三振に倒れた。
アストロズのザック・グリンキー投手はダイヤモンドバックス戦で見逃し三振を奪った62マイルのスローカーブと、ロッキーズ戦で空振り三振を奪った65マイルのスローカーブの計2球がトップ5入りした。
3位はレイズのマイク・ボラッソー内野手がブルージェイズ戦で緊急登板し、グリチャックを見逃し三振に仕留めた64マイルのナックルボールカーブ。そして5位はカブスのアレク・ミルズ投手がパイレーツ戦の初回に投げ、空振り三振を奪った66マイルのカーブ。どの1球も、無観客試合でなければスタジアムはその瞬間、大きなどよめきに包まれたに違いない。
また、同サイトは今年、60試合制で行われた公式戦と10月のポストシーズンも含め、100マイル以上の球で奪った三振が59個あった一方、70マイル以下での三振は36個あったと伝えている。
球速が60マイル台となるカーブなど山なりのスローボールを意味する『イーファス・ピッチ』は、打者はもちろん、観客をもハッとさせる衝撃度の高い変化球と言えるだろう。前述のグリンキーやカブスのダルビッシュ有投手(34)は、体の動きや腕の振りからは到底予測できない60マイル台のスローカーブで今も多くのファンを魅了しているが、大リーグでかつて、『イーファス・ピッチ』の使い手として一躍有名になった日本人投手といえば、04年にインディアンスでメジャーデビューを果たした多田野数人投手である。
マイナー時代から50マイル台後半のスローボールを、ここぞという場面で投げていた多田野氏は04年9月2日、ヤンキースの4番アレックス・ロドリゲスを超スローボールで三ゴロに打ち取り、敵地のファンをどよめかせた。試合後、「1試合に1球は投げようと(マイナーから)やってきたので良かったです」と振り返った多田野氏のその「1試合に1球」の投球スタイルは、移籍した日本ハムでも引き継がれ、日本の打者を圧倒し、ファンを魅了した