【フロリダ州タンパ2月28日(日本時間1日)発】いよいよヤンキース田中将大投手(25)のオープン戦初登板が目前に迫った。およそ1時間の軽めの調整で翌日のマウンドに備えたこの日は、初めてC・C・サバシア投手(33)とコンビを組んでキャッチボール。エース左腕は田中の“宝刀”を体感し、さっそく握りを確認するなど興味津々。160億円右腕の第1球に早くも世界中が色めき立つなか、チーム内でも田中への注目が高まっている。

 さすが「無敗エース」の貫禄だった。実戦登板を目前に控えた心境を、取り囲んだ報道陣が尋ねても、田中は「今から緊張してもしょうがないですからね。(緊張するのは)試合直前だと思います。今は全然普通です」。苦笑いを浮かべる表情には余裕すら感じられた。

 登板日が決まった直後は「自分の投球スタイルを貫く」と話していた田中は「明日は(周囲に)結果も気にされると思いますけども、自分の中ではそれは重きを置いていない。バッターは立ちますけど、まずはしっかりと自分の投球ができるかを確認したい。そこからやっていって、修正を図っていきたいですね」と改めて“今の自分”を強調。あくまでも初登板は第一歩という認識だ。

 配球や試したい球種などについても「これは矛盾するかもしれないですけども」と前置きしながら「それは受けてるキャッチャーの方が分かることなので、その日その日の『いいボール』を選択してくれると思う。(自分が)どういうボールを投げるのかも分からないでしょうし、使えるボール、使えないボールっていうキャッチャーの判断もあると思う。それは明日になってみないと分からない」と、あくまでも“郷に従う”投球で、自分らしさを出すつもりでいる。

 ヤンキース傘下のケーブル放送局「YES」でもCMに田中をメーンで起用するなど、その注目は高まっているが、実は“ひと足遅れて”そのポテンシャルの高さに驚いていたのが、エース左腕のサバシアだった。

 この日のキャッチボールはこれまでの相手だった黒田が別調整だったため、初めてサバシアとコンビを組んだ。最初は淡々と行っていたが、終盤に田中が調整の一環でスプリット、スライダー、カットボールを投げると、サバシアはスタッフの方を振り向き「今の見たか!?」と驚きの表情。キャッチボールを終えると、すぐさま田中に握り方をチェック。田中によると「スライダーとカッターを『どういうふうに握ってるんだ』みたいな感じだったので、こうだよって教えただけです」と、惜しげもなく“伝授”したという。

 百戦錬磨のヤ軍のエースをもうならせた伝家の宝刀が、フィリーズ打線相手にどう炸裂するのか。注目のマウンドはもうすぐだ。