楽天の主砲、AJことアンドリュー・ジョーンズ外野手(36)が“将来の夢”に向けて着々と準備を進めている。メジャー通算434本塁打の実績を誇る右の大砲は来日1年目の昨季、打率こそ2割4分3厘にとどまったものの26本塁打、94打点で日本一に貢献。もちろん今季の目標は2年連続の日本一だ。ただ、それとは別に目指しているのが将来的に日本で監督になること。そのための予行演習とみられる行動も、しばしば目撃されている。

 絶対的エースの田中将大(25)を失った楽天が2年連続日本一を目指すには「打ち勝つ野球」をするしかない。そのカギを握るのが、今季も4番を担う主砲のAJだ。

 来日1年目の昨年は、環境に慣れるだけでも大変だった上に、オランダ代表としてWBCにも出場。エンジン全開になるまで時間も要したが、日本流の調整も学んだ今季は不安な要素も全くない。オフも計画的にトレーニングを積んだようで、すでに打撃は実戦レベルに到達。AJ自身も「昨季はWBCもあって出遅れたけど、今年は昨季以上の数字を残せる」と自信をのぞかせる。

 それだけではない。かねて親しいチーム関係者などに「将来、日本で監督をやりたい」と話していたAJは、そのための準備もスタート。昨年もベンチ裏で野手にアドバイスを送っていたが、今キャンプでは嶋や銀次ら中心打者が打撃練習をしている際に、ベンチから拡声器を使ってアドバイスするシーンまで目撃されている。

 チームへの合流が1週間遅れる大物メジャーリーガー、ケビン・ユーキリス内野手(34=前ヤンキース)へのケアも抜かりない。AJはヤ軍時代のチームメートに「電話でキャンプやシーズンのこと、日本人投手の攻め方などを話した。野球は野球なので心配ない。日本での生活の方が大事。仙台の情報も伝えてある。いい街だし、とても楽しいってね」と細かいことまでレクチャーしているという。

「去年は若いチームで日本一になった。だから今年の目標は、若い選手たちに自信を与えて2連覇すること」。コメントにも指導者の風格が漂うAJが、V2のキーマンであることは間違いなさそうだ。