ヤンキース入りする田中将大投手(25)へ“天才”から緊急アドバイスだ。メジャーに挑む田中にとって最大の壁となりそうなのが、各国から集まった選手とのコミュニケーション。人間関係を円滑にするには英語だけでなくスペイン語も必要だが、田中には集中して語学を学ぶ時間もない。そこで、現役時代に外国人選手と打ち解ける速さにかけては球界一と言われた本紙評論家・朝井秀樹氏(30)が、楽天でチームメートだった後輩に外国人のハートをつかむための極意を伝授した。

 朝井氏は生来の陽気な性格に加え、ドジャース2Aの春季キャンプや、ハワイのウインターリーグ参加で磨いた“国際感覚”で、現役時代に多くの外国人選手と交友を広げてきた。引退後もその才能は健在で、昨年の日本シリーズ中も楽天アンドリュー・ジョーンズ外野手(36)と、あいさつしたその日に食事に出かけ酒を酌み交わす剛腕ぶりを見せつけた。

 といっても朝井氏は英語はほとんど話せない。一体なぜ仲良くなれるのか。「ズバリ言います。全世界の男性が笑顔になれる共通の話は下ネタとスラングです」。朝井氏によると、鉄板なのがあいさつで使う「What's up bi●ch?」。「元気かい?」というスラングに「男にだらしない女」などの意味を持つ「ビ●チ」をつけた、なんとも怪しげな表現だが「これで握手を求めると、時間にして2秒で仲良くなります。一瞬『えっ!?』というリアクションをされても笑顔で手を差し出す。このくらい軽いノリでいくことが大事です」。

 実はこの手法を教えてくれたのは、記憶に新しいあの男だった。「楽天にいた2006年、ウインターリーグで一緒になったモーガン(前DeNA)です。『それくらいで接するのがいいんだ』と。確かに『マイ ネーム イズ…』みたいに接しても、結局『こんにちは』と返されて終わってしまうんですよ」

 言葉だけでなく「モノマネ」も効果的だ。現役時代の朝井氏も、特徴的なフォームやしぐさをする選手のモノマネでチームを盛り上げてきたが、これにもコツがある。「フォームのまねの後に、打たれたり、三振したりと、ダメなときのリアクションまでしっかり入れるとウケる。ちなみに本人に怒られたことは一回もありません」。実はメジャーでも、移動中などに新人選手が歌や芸をやらされるケースがある。そんなときに有効だ。

 食事のときにも、こんな鉄板ネタがある。「特に南米系の選手といるときは、飲み物が来たら第一声で『サルー!』ですね。乾杯という意味のスペイン語ですが、これを言うとほとんどの選手が『何でその言葉を知っているんだ!』と、うれしくなって盛り上がるんです」

 いきなりそこまでやって大丈夫か?と心配にもなるが、朝井氏は「海外の選手たちの根底にあるのは『チームメートは家族と一緒。だから常に明るくいこう』という考え方。陽気に接しないと損です。あと彼らに共通しているのは、落ち込んだりピリピリしている雰囲気をすぐに察知する点。『昨日は昨日、今日は今日』という人たちだから、そういう空気を出す人にはあまり近づこうとしない。自分のハードルを上げずに明るくいくことです」と力説する。

 あとは田中がマウンドと同様の度胸を見せられるかどうかだが、朝井氏は「ヤンキースに行くなら(巨漢の)サバシアと相撲を取らなあかんでしょう。これは絶対にウケますから、ぜひやってほしい」と秘策も伝授。先輩からの金言(珍言?)をどう聞くか。