【マサチューセッツ州ボストン16日(日本時間17日)発】新ポスティングシステムでのメジャー移籍を目指す楽天・田中将大投手(25)と獲得を希望する球団との交渉期限は米東部時間24日午後5時(同25日午前7時)と残り時間が少なくなってきた。そんななか、昨季のチームメート、「AJ」ことアンドリュー・ジョーンズ外野手(36)が、田中はレンジャーズのダルビッシュ有投手(27)よりメジャーで結果を残す、との見解を明かした。

 16日(同17日)付のニューヨーク・ポスト紙(電子版)によると、フロリダ州タンパで行われたヤンキースの主将ジーターが主催するチャリティーイベントに出席したジョーンズは田中についてこう話した。

「田中はダルビッシュのように三振を取りにいかなかった。彼は打たせて取った。内野ゴロを打たせて、打者を打ち取りたがっていた」

 昨季のダルビッシュは両リーグ最多の277三振を奪って全米で高く評価された。その半面、三振にこだわって球数が多くなり、好投していながら不完全燃焼で途中交代するケースも少なくなく、厳しい論調の記事が地元紙に掲載されたこともあった。一方、田中はピンチを迎えるとスイッチが入ると評されるようにメリハリをつけていた。

 記事には「田中とダルビッシュを比較すべきではない」と見出しが付けられ、AJは直接的な表現で田中の実力はダルビッシュより上と言ったわけではない。しかし、常に三振を狙うダルビッシュより、基本的には打者を打たせて取る田中の方が米国ファン好みの省エネタイプ、先発投手は中4日で登板するメジャーで結果を残せるとみているのは明らかだ。

 米国のファンの多くはテレビやインターネットなどで映像は見ているだろうが、生の田中を知らない。昨季の24勝無敗1セーブ、防御率1・27という成績から想像するだけだ。AJは「彼は打者を圧倒できるし、コントロールもできる。非常に負けず嫌いだ。それに(24勝無敗という)彼の記録が全てを物語っている。彼が日本で成し遂げた全てのこと、私はもう十分だと思う。彼は過去2年、日本で最高の投手だったと思う。アメリカに来て、大リーグで何ができるかを見せる時が来たということだ」とべた褒めした。

 1年間一緒にプレーしたAJの言葉だけに説得力がある。ファンの期待はさらに膨らむだろう。

 そしてこんな情報を明かした。

「彼はベリーグッドなスプリットを持っている。シーズン終盤にはチェンジアップを投げ始めていた」

 最後にAJは「(田中に)こっち(メジャー)の野球について聞かれたこともある。彼はすごい才能を持っている。どこであろうがベースボールはベースボールだ。ただ、成功を収めるには早い適応が必要だ。もちろん適応できるかどうかは彼次第だ」とエールを送った。

 田中の1年目の成績は現時点では予想もつかない。メジャー通算434本塁打を放ったAJの眼力を信じるならダルビッシュの1年目の16勝9敗、防御率3・90を上回る。果たして…。