【ロサンゼルス発】「スターの退場」と米メディアが騒然だ。ナショナルズのエース、スティーブン・ストラスバーグ投手(32)が13日(日本時間14日)のシティ・フィールドでのメッツ戦で、観客席にいたにもかかわらず退場処分を受けたからだ。

 3回二死満塁でナショナルズの先発ボースはメッツの5番・アロンソにカウント2―2から91・8マイル(約147キロ)の直球を内角低めへ。ギリギリに決まったかと思われたがトレス球審は「ボール」の判定。すぐさまナショナルズベンチでマルティネス監督が不満の声を上げると、トレス球審はマスクを外して注意。さらに視線を上げると、いきなり「退場」を宣告した。

 誰が退場処分を受けたのか…。中継のカメラが捉えたのは昨季のワールドシリーズMVP、赤いTシャツと紺の短パン姿、マスクをしっかり着けたストラスバーグが帽子を取って、合図しながらスタンドの階段を上って退場する姿だった。

 マルティネス監督か投手コーチが退場するのかと思ったアナウンサーはスタンドにいるストラスバーグだと分かると「信じられない! 最高!」と大爆笑。USAトゥデー紙(電子版)も「アメージング」、NBCワシントン(電子版)は「さすがはストラスバーグ、登板しない日でも試合にとても集中している」、ニューヨーク・ポスト紙(電子版)は「マスクの下に明らかな笑みをたたえて去っていった」と報じた。ナショナルズの公式ツイッターは「GOOD DAY, SIR! (どうか、良い一日を!)」とキャプション付きでストラスバーグが帽子を取る動画を投稿した。

 様々な声が飛び交っていたため、実際に何を言ったかは聞き取れないが、ストラスバーグは14日(同15日)に敵地で行われるオリオールズ戦に先発登板の予定だ。

 コロナ禍ならではの退場劇だが実は今季2人目。7月26日(同27日)にブッシュ・スタジアムで行われたカージナルス―パイレーツ戦の3回、スタンドから声を出したパイレーツの左腕ホランドが退場処分を受けている。