ヤンキースの田中将大投手(31)は7日(日本時間8日)に敵地セントピーターズバーグでのレイズ戦に先発し、5回を1安打無失点、5三振無四球と完璧な内容。打者16人に59球投げ、ストライク率は驚異の75%だった。同点で交代したため、勝敗は付かなかった。「6番・DH」で先発出場した筒香嘉智外野手(28)との日米通じての初対決は貫禄勝ちした。

 日米メディアが注目した最初の対戦は2回一死無走者だった。左打席に入った筒香に対して田中は気迫の投球だ。初球は93マイル(約150キロ)の真っすぐを外角高めに決めた。2球目は92マイル(約148キロ)の直球を内角高めにズバリ。筒香はバットを振りにいったが詰まらされて一邪飛に倒れた。

 田中からしてみれば同地区のライバルチームの主砲との対決は最初が肝心。レイズとは18日(同19日)から3連戦、31日(同9月1日)から3連戦がいずれも本拠地ヤンキー・スタジアムで組まれている。この日はスライダー、スプリット中心の組み立てから一転、力で抑え込みにいった。筒香は試合前まで12打席連続無安打と絶不調。9度目のスタメンで初めてクリーンアップから外れている。バットが出ないという読みもあっただろう。

 一方、筒香は田中が前の打者5人と低めの変化球で勝負していただけに、高めの真っすぐに完全に差し込まれた。

 2打席目は5回一死無走者。初球は外角低めに83マイル(約134キロ)のバックドアのスライダー。筒香は見送るしかなかった。2球目は真ん中低めのスプリット。筒香は強振したが、平凡な中飛に倒れた。

 それにしても今季2度目の先発マウンドに上がった田中は完璧だった。スライダー、スプリットが低めに決まり、真っすぐは伸びた。許した安打は初回二死からディアスにスライダーをゴロでシフトの逆を突かれて一、二塁間を破られただけ。完全に捉えられた安打性の当たりは1本もなかった。尻上がりにスライダーの切れは増した。4回のロー、5回のウエンドル、アダムスのバットに空を切らせたスライダーは魔球だった。

 7月4日(同5日)の練習で頭部に打球を受けて軽度の脳振とうと診断され、調整が遅れた影響で球数制限がなければ完封しただろう。次の登板が楽しみだ。