【ロサンゼルス発】エンゼルスの大谷翔平投手(26)が7日(日本時間8日)に本拠地エンゼル・スタジアムで行われた特別ルールの紅白戦に先発登板。3回を投げ1安打1失点、1三振7四球だった。2018年10月に受けた右ヒジ内側側副靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)後初で、同年9月2日の敵地アストロズ戦以来、674日ぶりの実戦。制球は定まらなかったが、マウンドに上がれたことが大収穫。24日(同25日)の開幕から復活した二刀流を見ることができそうだ。

 マドン監督ら首脳陣、トラウトらチームメートが見守る中、マウンドに上がった大谷。二刀流復活への期待をひしひしと感じただろう。メジャーで自己最速の101・1マイル(約163キロ)をマークしたようにスピードが注目されるが、この日の課題は球速ではなく、結果でもなかった。まずは実戦で投げること、右ヒジに負担をかけない新フォームの確認だ。

 先頭は左打者のラステラ。新フォームは力みを感じず、流れるようにスムーズだ。しかし、久々の実戦とあって制球が定まらずストレートの四球で歩かせた。2人目は右打者のシモンズ。フルカウントから空振り三振。続く右打者のレンドンも四球。ここまで15球中11球がボール。4人目は主砲プホルス。2ボールから3球目でストライクを取ったところで交代。18球で終えた。

 2回は再びプホルスと対戦。四球で歩かせ、続く右打者のスタッシにも四球。ラステラに右中間へ適時打を許した。アウトは取れずに2回は15球で終了。3回はシモンズ、レンドン、プホルスに3者連続四球。17球で終えた。

 マウンドではイライラした表情を見せたが、降板するときは笑みがこぼれた。7四球という結果はともかく実戦マウンドに立てたことが大きな前進。投手復帰に手応えを感じたのだろう。FOX Sports Westのツイッターは「この笑顔を待っていた」と速報した。

 開幕後、何戦目に投げるのか。開幕戦の舞台オークランドはメジャーリーガー大谷誕生の地だ。2018年3月29日のアスレチックスとの開幕戦に「8番・DH」でデビュー。「おそらくこの先、忘れない打席になる」と特別な思いで臨んだ2回二死一塁のメジャー初打席で初球を右前に運んだ。3日後の第4戦では先発マウンドに立ち、6回を3安打3失点の好投。初登板を初勝利で飾った。

 複数の米メディアが「大谷は日曜日に投げるだろう」と26日(同27日)の第3戦の先発を有力とした。これを受け、地元紙オレンジ・カウンティー・レジスターのジェフ・フレッチャー記者は自身のツイッターで「大谷は日曜日に投げるのが一番妥当」とし、「日曜日なら10度登板でき、翌日の月曜日は3度試合がない」と説明した。

 日本ハム時代の大谷は中6日で登板し、1年目に指揮を執っていたソーシア監督もそれを踏襲。10試合の先発のうち、6度が日曜日だった。大谷は登板日前後を欠場することが多く、月曜日に試合がないのは打者大谷に期待しているチームにとっても好都合だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でレギュラーシーズンの開幕が4か月遅れ、従来の162試合から60試合に縮小された。球団、選手、ファンにとっても満足な状態とはいえないが、開幕からの二刀流復活は明るい材料。米国に漂う沈滞ムードを大谷が吹き飛ばす。