頭部に打球を受けて軽度の脳振とうと診断されたヤンキースの田中将大投手(31)は6日(日本時間7日)に本拠地ヤンキー・スタジアムでリハビリを開始した。約15~20分間、エアロバイクで汗を流した。米大リーグ機構(MLB)が定める脳振とうの指針に従い、慎重に復帰を目指す。ブーン監督は「間に合うと願っている」と期待を寄せるが23日(同24日)の開幕戦、敵地でのナショナルズ戦に間に合うか微妙だ。

 米メディアのNJ.comは6日にヤンキースで近年に脳振とうを患った選手の例を紹介し、田中を心配するとともに早期復帰を期待した。

 クリント・フレージャー外野手(25)は2018年のオープン戦で打球を追いかけた際に左翼フェンスに頭をぶつけて脳振とうを起こし、その後は光過敏症、めまい、一時的な記憶喪失により復帰までにかなり苦しんだ。この年はメジャーとマイナーで計69試合しかプレーできなかった。同サイトによるとブーン監督はフレージャーの診断結果を田中と同じく「軽度の脳振とう」と発表していた。

 また、17年には昨季限りで自由契約となったジャコビー・エルズベリー外野手(36)が、やはり外野フェンスに激突して脳振とうの症状を訴え、首も負傷した。リハビリの途中で症状がぶり返し、復帰に1か月を要した。

 ただ、フェンスへの激突とボールの直撃は全く違う。田中の頭部を襲ったスタントンの打球速度は112マイル(約180キロ)とされ、衝撃は相当だろう。今後、時間を置いて後遺症が出る可能性もある。

 日本人投手でいえば、ドジャースの黒田博樹が09年8月15日の敵地ダイヤモンドバックス戦で打球が右側頭部を直撃。骨などに異常はなかったが、同年9月6日のパドレス戦で先発復帰するまで3週間を要した。過去には頭部にボールが当たった恐怖を拭うことができずに引退したケースもある。焦りは禁物だ。