ゴジラ超えなるか――。DeNAからポスティングシステムでレイズへ移籍した筒香嘉智外野手(28)に新天地は大きな期待を寄せている。その裏側でレイズ側が筒香に思い描く理想像として見え隠れするのが、レイズでユニホームを脱いだ、あの松井秀喜氏(45=ヤンキースGM特別アドバイザー)の存在だ。

 レイズのニアンダーGMとキャッシュ監督は、筒香獲得に名乗りを上げた球団の中で最も早く本人と接触し、猛アタック。そこまで入れ込む理由は他でもない。実力面はもちろんのこと、いち早くチームに溶け込む順応性を持ち合わせている点も高く評価したからだ。

「ヨシ(筒香)は生まれながらのリーダー。誰に聞いても彼は野球を愛していて、仕事に対する素晴らしい道徳心を持っているとのことだった」とはキャッシュ監督の筒香評。この言葉はリップサービスではない。レイズは筒香とメジャーリーグで活躍した「元祖日本人スラッガー」の松井氏をダブらせ、チームに変革をもたらせる新戦力としてもシナリオを立てている。

「メジャーにアジャスト(順応)するためには言葉の壁を打ち破ることが必要不可欠。その点、将来のメジャー挑戦を見据え、英語だけでなくスペイン語も日本にいる時からひそかに学び続け、外国人選手とも難なくコミュニケーションできていた筒香の“make up(性格)”は非の打ちどころがない。性格面が素晴らしい上にスラッガーである彼は、松井と共通している部分も多い。レイズは松井獲得の“夢の続き”も見いだそうとしている」(メジャー関係者)

 レイズは2012年のシーズン中、現役の晩年を迎えようとしていた松井氏の総合力を高く評価し、獲得に踏み切った。しかし松井氏は残念ながら力を発揮できず、同年限りで引退する形になった。レイズとしては、日本人の次世代スラッガーで松井氏と共通事項も多い筒香に「ネクスト・ゴジラ」として9年越しの続きを担ってもらいたいというわけだ。

 何よりもキャッシュ監督は現役時代にレイズ、レッドソックスでア・リーグ東地区の敵プレーヤーとして、そして09年に所属したヤンキースではチームメートとして松井氏の偉大さを間近で体感している。「キャッシュ監督自身も筒香に対し、松井の姿を映し出している」とは前出のメジャー関係者。レイズの思惑通りにゴジラ2世、いや“オーバー・ザ・レジェンド”を成し遂げられるか。筒香の船出に注目が集まる。