パイレーツ一塁手ジョシュ・ベル 野球以外に好きなことは?の質問に「彼女」と即答 10年後に野球場にすべてを置いてきたって思いたい

2019年09月07日 11時00分

今年の球宴では本塁打競争にも出場したベル(ロイター=USA TODAY Sports)

【元局アナ・青池奈津子のメジャー通信】この仕事をしていて、ひどく感謝したくなる瞬間がある。たとえば、飛び込みでジョシュ・ベルと話した時。

「僕の彼女が犬を飼っているんだけど、一緒に遊んでいるのが好きだよ。ピットブル&テリアのミックスみたいな犬なんだけど、成長する過程をずっと見てきたし、エネルギー満載で、散歩に行ったり、大好きなドッグパークに行ったり。あとはビデオゲームをしたり。遠征中にもポータブルテレビを持って来るんだけど、彼女とフェイスタイム(携帯のビデオ通話)した状態で横に置いて、ゲームをやっていたりするよ」

 何がすごいって、最初の質問「野球以外の好きなこと」で真っ先に答えたのが「彼女」についてだったこと。長年取材をしてきて「家族」と答える選手が多い中、言われてみればパートナーの話をするのは自然なのかもしれないが「出会いはインスタグラム」で「僕から連絡したんだよね」とか、そんなにさらさらとノロケる友人でさえ皆無な私は目を丸くするしかできないでいると「うーん、まぁ彼女がマイ・ロック(僕の心の支え)だからね」と。あまりに自然体で話すので、ある意味開き直って目を丸くしたままジョシュの恋物語に興味津々で突っ込んだ。

 名前はアーリアさん。デュケイン大学の法学部に通っていて「偶然にも隣のマンションに住んでいたんだ」そう。初めてのデートは彼女のすし屋初体験でしかも「オマカセコース」。その時家が近いことを知った2人は「意気投合して、試合後とかにも会うようになって、気がつけば毎日連絡して、それが真剣になって、正式に付き合いだして、今1年ちょっとたったくらい。両親にも会ってもらったし、時間があれば一緒に遠征にも来るよ」。

 話した翌日がジョシュの誕生日だったが「彼女と両親が来てくれているから、スタジアムのスイートルームを取れたらいいなって思っているんだけど、まだ分からないんだ」と、屈託のない笑顔で話す。

 大学教授の父とシステムエンジニアの母の下、野球選手を目指しながら、人としてもまっとうであるように育てられた彼は、幼いころから肩ひじ張らず、誰とでも分け隔てなく接する大人びた性格だったらしい。

「ピッツバーグでデートしている時?『ああ、デートしているんだな、そっとしておこう』という雰囲気で見守ってくれているように思うよ。それにね、この生活にはいずれは終わりがくるものだと思っているんだ。だから、今の時間を大切にしたい。特にピッツバーグのファンたちとは。彼らはずっと黒とゴールドのユニホームを着てチームを支えてくれてきた人たち。僕はテキサス州のダラスから来た輸入品で、僕と写真が撮りたいって言ってくれるんだもん。僕は、このユニホームを借りている身だから、その間はできる限り精一杯やりたい」

 なんというか、その純粋さや言葉によどみがなくてかっこ良い。

「自分が恐れること? 10年後に過去を振り返って、もっと頑張ればよかったって思うこと。ユニホームを着られるのは限られた時間で、振り返った時に自分は全力で向き合って、すべてを野球場に置いてきたって思いたい。そのためには一番大事なゴールに向かってフォーカスを続けること。今日という一日に集中して、ベストな自分でいられるようにやるべきことをやって、僕にとっての今の最優先事項は野球なんだってことを忘れないこと。野球が終わったらやりたいことをいくらでもやって楽しめばいいと思っている」

 ここまできたら愚問だな、と思ったのだが、聞いてみた。

「野球選手と付き合うことに不安はなさそうだったか? 僕って、心配させるタイプに見えるかな? ははは」――。

 ☆ジョシュ・ベル 1992年8月14日生まれ。27歳。米国テキサス州出身。右投げ両打ち。一塁手。2011年のドラフト2巡目(全体61位)でパイレーツから指名されプロ入り。16年にメジャーデビュー。17年には159試合に出場し、打率2割5分5厘、26本塁打、90打点を挙げレギュラーに定着した。18年は148試合で打率2割6分1厘、12本塁打、62打点。19年は開幕から好調で、9月1日現在、打率2割7分7厘、35本塁打、109打点。パワフルなスイングから繰り出される特大の一発が話題となり、オールスター戦にも選出されるなど、パイレーツの看板選手に成長した。