メジャー5年目でかなえた「巨大水槽を持つ夢」

2019年08月24日 11時00分

ボアの魅力はシーズン20本塁打を3度記録している長打力(ロイター=USA TODAY Sports)

【元局アナ青池奈津子のメジャー通信=ジャスティン・ボア内野手(エンゼルス)】家を不在にしたり、トレードなどで急な引っ越しを余儀なくされる野球選手の趣味が「ソルトウオーターアクアリアム」だと「バージニアの持ち家にセキュリティーカメラをつけて、オンラインで管理したり眺めたり」することになるらしい。ジャスティン・ボアが長年計画し、メジャー5年目にしてようやくかなえた「大きな水槽を持つ」という夢。これが意外と奥深い。

「サイズは170ガロン(約644リットル)で、大人が入れるバスタブぐらいの大きさかな。大学時代からずっと何かしらの水槽は持っていて、ベタ(淡水魚)とか、マイナー時代にはミシシッピアカミミガメとか、何かしらは飼っていたんだけど、昨季は急なトレードで飼っていた魚をその日のうちにペットストアにあげて出なきゃならなかった。クレージーだったんだよ。だから今回は水槽を置いて、何があっても誰かが見に来られるような環境を整えてあげようって思ったんだ」

 ジャスティンは、オフに過ごすバージニア州をホームと呼ぶが、5年過ごしたマイアミの家にも小さな水槽を持っていて、シーズン中にペットショップなどで出合った魚を飼っては、オフにはバージニアに連れて帰り、そちらの水槽に移してあげていた。トレード時に手放さざるを得なかった魚たちは「ニモで有名なクラウンフィッシュ、ドリーで有名なブルータング、それからスターフィッシュなんか。寂しかったけど、その時はペットストアに託すのが最善の選択だった」。少し切なそうな表情から、彼にとって魚たちと過ごす時間が大事なことは分かる。

「水槽は僕にとって、すごくピースフル(穏やか)の象徴なんだよね。確か科学的にも証明されているんじゃなかったかな? ストレスを減らし、落ち着かせる作用があるって」。ジャスティンにとって好きなビデオゲームをしながら、隣にある水槽を眺めるのが至福の時と聞いて「ぜいたく!」と笑い合った。

 そんな安らかな存在に一度大きなピンチがあったそう。「マイアミ時代に、水槽の中に設置してあるデジタル温度計が異常な高温値を示していたんだけど、僕は遠征中で慌てて友人のジェレミーに電話して家に見に行ってもらったんだ。すると普段水の中に入っているはずの温度計が外に飛び出していて、部屋の気温20度を拾っていたから、寒すぎて熱をどんどんタンクに送り込んでいたんだ。早い段階でキャッチできたから何も起こらずに済んだけどね」

 今では餌やりや光の管理を自動で行う完全完備の水槽に加え、2週間に1度は管理会社が来て水槽の掃除や餌の補充などをしてもらえるように頼んでいる。

「魚を飼い始めた最初のきっかけは7歳くらいの時に行った夏のフェアのゲームで金魚をたくさんもらったことかな。うれしくて母に見せたら『これ、どうするのよ』って顔をしていたのを覚えている。動物好きだったから、しっかりとした水槽にフィルターや植物などを買ってくれたけどね。確か12匹ぐらいいて、最終的に5匹がものすごく長生きしたんだ」

 この時、ジャスティンがやったのは「フィッシュ・ボウル・トス」という、卓球の球をガラスのジャーの中に投げ入れるゲーム。お祭りから帰った子供がうれしそうに持つ金魚の袋を見て、水槽を買うことを余儀なくされたご家庭は日本以外にもあるんだな、と自分の中にある当時の母の少し困った顔を思い出した。

 ☆ジャスティン・ボア 1988年5月28日生まれ。31歳。米ワシントン出身。193センチ、113キロ。右投げ左打ちの内野手。2009年のMLBドラフト25巡目(全体770位)でカブスから指名されてプロ入り。13年にマーリンズ移籍。14年6月にメジャーデビュー。15年はレギュラーに定着し、129試合で打率2割6分2厘、23本塁打、73打点をマーク。18年のシーズン中にフィリーズへ移籍し、今季からエンゼルスでプレー。マーリンズ時代に同僚だったイチローと日本で合同自主トレしたことも。

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