【オハイオ州クリーブランド発】MLBのオールスター戦が9日(日本時間10日)、インディアンスの本拠地プログレッシブ・フィールドで行われ、2回から2番手で登板したヤンキースの田中将大投手(30)が1回を1安打無失点、1三振で抑え、日本人投手初の勝ち投手になった。ヤンキースの投手でも1948年のビグ・ラッシ以来、71年ぶりだ。

 初回を3者凡退に抑えた先発バーランダーの後を受けて2回からマウンドに上がり、ナ・リーグの看板打者と対戦した。まずは今季30本塁打の4番・ベリンジャー(ドジャース)。打率3割3分6厘、71打点でMVPの有力候補で、打撃3部門はいずれもリーグ2位で3冠王も狙える。最初の2球はボールが上ずったが、3球目からは修正し、カウント2―2からスプリットで空振り三振を奪った。ヤンキースは公式ツイッターで「マサはどうだった?」とこの場面の動画を公開すると、ファンは「最高だ」「われらがエース」「ワールドシリーズのプレビュー」などと大興奮だ。

 20本塁打の5番・アレナド(ロッキーズ)は平凡な中飛に打ち取り、27本塁打の6番・ベル(パイレーツ)はボテボテの二ゴロに仕留めたかに見えたが、ビデオ判定の結果、セーフに覆った。近くで見ていた田中は「セーフだと思いましたよ」とニヤリ。それでも、18本塁打の7番・コントレラス(カブス)は、自身の足元を襲った強烈なゴロを鮮やかなグラブさばきで処理。投ゴロで3つ目のアウトを奪った。

 田中は「無失点ですし、ヒットも内野安打だったので、しょうがないかなと思います。まあ、いいところには投げられたかなと思うので、良かったですね。ピッチャー返しもフィールディング、ちゃんとできますよというのを見せられたので、良かったですね」と満足そうに夢舞台の初登板を振り返った。2014年は選手間投票で選出されながらも右ヒジの故障で辞退。感慨もひとしおだろう。

 前半戦は5勝5敗と苦しんだが、勝利投手の権利を持って降板しながら救援陣が打たれて、白星を逃したケースが5度もあった。この“1勝”で乗っていきたい。