【メリーランド州ボルティモア発】ヤンキースの田中将大投手(30)は23日(日本時間24日)、敵地でのオリオールズ戦に先発し、6回を5安打1失点と好投。2試合連続で打球の直撃を受けるアクシデントはあったが、勝ち投手の権利を持って降板した。しかし、救援陣が追い付かれ4勝目を逃した。チームは9回に押し出し四球で勝ち越して逃げ切り、連勝を5に伸ばした。

 ヒヤリとしたのは2回だ。無死二塁で6番・ルイーズが放った102・3マイル(約165キロ)のライナーが右手人さし指、グラブをかすめて左胸を直撃。三塁前に転がった打球を拾って一塁へ。しかし、悪送球となり無死二、三塁のピンチを招く。それにしても前回登板では111・4マイル(約179キロ)の打球が右スネを直撃し、その影響で降板している。2試合連続“大当たり”だ。

 この日、ベテラン左腕のサバシアが右ヒザを痛めて10日間の負傷者リストに入ったばかり。ベンチは焦ったはずだ。左胸を気にしたものの、駆け寄ったトレーナーに大丈夫のしぐさ。内野手陣、ブーン監督らが見守る中、2球ほど投球練習して試合は再開された。

 7番・デービスを四球で歩かせ満塁。8番・ウィンズは遊飛に仕留め、9番・マーティンは二ゴロを打たせた。併殺かと思われたが、定位置より深めに守っていた遊撃手・エストラダのカバーが遅れ、一塁はセーフ。1点の先制を許した。

 3回は二死から三塁打、4回も二死から安打を許したが無得点に抑えると、味方打線が奮起した。5回にフレージャーが同点弾を放ち、6回に二死満塁でウルシェラが左前に勝ち越しの2点打。田中は5、6回を三者凡退に抑え、勝ち投手の権利を持って降板。救援陣に託したが、8回に追い付かれた。

 ニューヨークの地元テレビ局「YES NETWORK」は田中のインタビュー動画を公開。田中は「(2試合連続での打球直撃は)なかなかあまりないんですけど、それが2回続いたということで運が悪いなとも思うんですけど、その中で大きなケガにつながっていないのは運がいいと思います。前回のほうがやっぱり速かったです」と苦笑いしていた。

 この日の速球のMAXは94マイル(約151キロ)、スライダーは切れ、スプリットの落ちもまずまずだった。95球中70球がストライクでストライク率73・7%だ。4試合連続でクオリティースタート(6回以上を投げ、自責点3以下)を達成し、防御率は3点台を切って2・94とエースの数字だ。

 惜しまれるのは2回までに48球を費やしたこと。球数を抑えていれば、7回も続投できたはず。そうすれば…。白星は手にできなかったが貫禄は示した。