韓国リーグで大スターとなってメジャー復帰 印象に残った「すべてがミリタリースタイル」

2019年05月18日 11時00分

テムズは韓国球界で大きく成長した(ロイター=USA TODAY Sports)

【元局アナ青池奈津子のメジャー通信=エリク・テムズ内野手(ブルワーズ)】「韓国の野球について、知っていたのはスティグマ(レッテル)だけ…。海外に行くということはもう年をとってキャリアの終わりを意味することだって。韓国の球団からオファーをもらった時、僕は26~27歳の、3Aか40人枠に入れるかどうかの微妙な選手だった。良いオファーだったから、とにかく稼げるうちにお金を稼ごうと思ったのと、純粋にこれはチャンスだ、やるっきゃないとジャンプして足から突っ込んだ」

 韓国リーグで3年プレーし、一大スターとなって大リーグに帰って来たエリク・テムズ。

 実直な彼が教えてくれた韓国へ行く前のイメージは、ある意味想定内で「現実はまったく違っていて、今は23歳とかが海外にいて、そこから15年級の選手になったりする。すべてはプレーする『機会』にかかっているんだよね」と、日本でも出稼ぎ感のあった外国人選手のイメージはだいぶ変化したな、と思いながら聞いていた。

 いかにも人の良さそうな米国人という印象のエリク。それまでアジア方面に行ったことがなかったと言うから、さぞやカルチャーショックを受けたのではないかと問うと「最初は本当に無知で失礼な米国人で、危険なところじゃないといいな、と。コリア(韓国)ってニュースで聞くのはノースコリア(北朝鮮)のことばかりだから…。でも、行ってみたらすごく安全でいいところで、皆が親切だった。母が初めて来た時も同じような感覚だったみたいだけど、最終的にすごく気に入って帰ったよ」

 この辺までは、米国に住んでいて自分自身が目の当たりにする「日本のイメージのギャップ」と近しいところがあるので「うん、うん」と、また一人、アジア文化に理解を示してくれる米国人に出会えたことをうれしく思いながら聞いていた。

 では、具体的に何が印象的だったのか。少し息を吸って呼吸を整えたエリク。

「すべてがミリタリー(軍事)スタイル。韓国では兵役の義務があるからね。たとえばバス。球場までのバスが13時発予定だったら、12時半には出るんだ。最初の数回は、『まだ12時半なのになんでどこにもバスがいないんだ!?』ってよく焦ったよ。あと、監督は大統領みたいなもんで、監督が何か言ったら、皆その通りにやる。米国だと、選手が何か嫌だったらコーチと口論してもいいけど、韓国では従うのが当たり前。日本もそうみたいだね? まさにミリタリー」

 そういえば、以前レッドソックスのジョン・ファレル元監督に松坂大輔投手との思い出を語ってもらった時「彼が何を感じているかを教えてくれなくて、困った。助けたいのになんで何も言ってくれないのかって悩んだし、イライラしたよ」。それが文化的違いなのだと分かったのは、他の日本人選手らと接する機会が増えてからだったと話していたのを思い出し、お隣韓国にも似たようなところがあるのだな、と納得しかけた瞬間、突如として疑問が湧き上がった。

「あれ? 私は韓国野球の何を知っていたっけ?」 =次回に続く=

 ☆エリク・テムズ 1986年11月10日生まれ。32歳。米国カリフォルニア州出身。一塁手、外野手。右投げ左打ち。2008年のMLBドラフト7巡目(全体219位)でブルージェイズから指名され入団。11年にメジャーデビューし、同年12本塁打。12年シーズン中にマリナーズへ移籍。13年以降はマイナー生活が続き、同年6月にオリオールズ、同年9月にアストロズへ。同年12月に韓国プロ野球のNCダイノスと契約。同チームの主砲として3シーズン活躍したのち、16年オフにブルワーズと契約し、メジャー復帰。17年に31本塁打を放つなど逆輸入選手として大暴れした。183センチ、95キロ。