マリナーズ・菊池雄星投手(27)の成功のカギはどこにあるのか。西武時代に長年バッテリーを組んだ西武・上本達之ブルペン捕手(38)は「正直なところ、雄星にはいい点、悪い点がはっきりしている。そこをどう自分で処理するかでしょうね」と指摘した。

 いい点については「プロ入り当初の雄星のボールは球威があっても投球時に腕の位置が下がっていたこともあり、直球がまっスラ(スライダー回転)ばかり。捕手はボールを捕りづらかったし、球の軌道も不安定だったため失投を痛打される場面が目立った。でも、数年前から腕の位置を意識的に上げ、真上から投げ下ろすフォームに修正してからは制球が安定した。これは大きいと思います」。

 その上で「もともと、打者を威圧するようなステップ幅の大きいフォームは脅威。僕もボールを受けていると、マウンドから雄星が飛んでくるような怖さがあった。向こう(メジャー)の打者もこの姿に驚いていると思うので、今の制球力であればある程度はやれると思います」とした。

 一方、懸念材料は「メンタル面」。プロ入り直後から熱心に自身の投球を研究する努力家ゆえに「いったん考え込むと周りが見えなくなる」そうで「うち(西武)の野手はすでに理解しているのですが、雄星はマウンドで窮地に陥ると極端に悩む傾向がある。そうなると投球の間合いが悪くなり、バックの野手のリズムを狂わせてしまうのです」。

 西武時代には先輩野手からこの悪癖を頻繁に指摘されながら長年改善できなかったようで「野手にとって守備のテンポは攻撃に影響が出るため、投手の長い間合いはマイナスになる。メジャーの選手もそのあたりは気にするはず。孤立無援にならないよう自分のことだけでなく、メジャーでは野手の気持ちも酌みながら投げてほしいですね」。

 メジャー新人左腕は、古女房が指摘する積年の課題を克服できるか。