楽天ナインが“マー流指導法”に熱視線だ。仙台での自主トレ2日目を迎えた24日、ヤンキース・田中将大投手(30)は室内練習場で調整した。キャッチボールの最後には捕手が座って16球。キレのいい変化球を織り交ぜての投球を披露し、順調さをうかがわせた。

 田中が則本、松井、辛島、藤平と汗を流すなか、その隣でトレーニングに励む他のナイン、関係者から聞こえてきたのは「田中さんの『教え方』っていいですよね」の声。右腕のコーチングに羨望のまなざしを送っているのだ。

「踏み出すときの腰の開きを、もっとギリギリまで我慢して投げた方が力のあるボールがいく」とアドバイスされたという辛島は田中の教え方をこう解説する。「キャッチボールしてもらったり、自分のピッチングを横でじっと見てくれたりするんですけど、将大さんは自分からアドバイスをしない。こっちが『どうですか?』と聞いて初めて『自分はこう思う』って感じで答えてくれるんです」

 しかも単に「こうしろ」とは言わず、その理由も説明。そして必ず「でも人それぞれだし、だからどう、ということではないから」と付け加えるという。辛島はその助言を取り入れ「だんだんいいボールがいくようになってきたので、これを続けてやっていこうと思います」。前日の新人選手相手との質疑応答について「(自分の言葉を)すべてうのみにしてもらっても困るし、人それぞれ。何かしら引っかかるものがあればいいかなと」(田中)と語っていた、そのままの指導法だった。

 教える相手もプロ。自身で考えさせる間も与える田中のコーチングに「こういう方が受け入れやすい」「今の選手に合っている気がする」「押し付ける感じがないのがいい」の声が上がるのも無理はないだろう。

 まだまだ現役バリバリの右腕だが、“田中投手コーチ”の姿も興味深い。