内海の西武移籍 巨人生え抜きに大衝撃

2018年12月21日 16時30分

西武へ移籍した内海

 巨人に衝撃が走った。今オフFA宣言により入団した炭谷銀次朗捕手(31)の人的補償として、内海哲也投手(36)が西武へ移籍することが20日、発表された。通算133勝の実績だけでなく、チームの精神的支柱でもあった左腕の流出にGナインは絶句。球団の伝統をも揺るがす編成方針の転換に、かつてない大きな波紋が広がっている。

 年の瀬に今オフ最大の波乱が待っていた。炭谷の流出により、西武が選んだのは巨人の顔とも言える36歳のベテラン左腕だった。

 球団はこの日午前、内海を東京・大手町の球団事務所に呼び出して通知。その後に内海は球団を通じ「日本一のファンに支えられたジャイアンツでの15年間は最高の思い出です。チームメートには感謝の思いしかありません。ジャイアンツで培ったすべてを生かし、新しいチームでも気持ちを新たに頑張ります」などとコメントした。

 大塚球団副代表によれば、通達の際に内海は涙をこぼしていたという。編成本部長を兼ねる石井球団社長は「いつの日か、再びジャイアンツに戻ってきてくれることを期待しています」との異例のコメントを発表した。

 G党にとって衝撃的な功労者の流出劇。球団側はどう受け止めたのか。大塚副代表は「菊池雄星が出るとなると(西武は)先発できる左投手が欲しいのかなという感じはしていました。でも、まさかとは思いました」。一方では「いつもあるんですよね、こういうことは。(2006年オフに門倉の人的補償として横浜へ移籍した)工藤のときもまさかと思ったし、ウチも獲っているわけだから、こればっかりはね」とも付け加えた。

 だが選手の多くは今回のケースを「いつもあること」とは受け取っていない。確かに巨人からは過去に工藤のほか、05年オフには豊田の人的補償で江藤が西武へ移籍している。どちらも内海に勝るとも劣らないビッグネームだが、決定的に違う点がある。「生え抜きではない」ということだ。

 巨人の“生え抜き重視路線”は良くも悪くも球団の伝統だった。金銭条件では時に外様組に劣っても、チームに一時期でも貢献したと認める選手に対しては終身雇用にも似た有形無形の厚遇で接してきた。内海も07~09年、12~14年の2度のリーグ3連覇と日本一2回に貢献した大功労者。「生え抜きのエースか4番」という監督候補資格を持つ貴重な人材でもある。それだけに生え抜きの受けた衝撃は大きい。

 内海と長年バッテリーを組んできた阿部も「それだけ厳しい世界なんだなと改めて感じました」と驚きの声を発した。内海から連絡を受けた際に「お前の野球人生はまだ終わっていないから頑張れ」と声をかけたのはさすがだが、ショックの色は隠せなかった。

 石井社長は将来的な巨人復帰の期待を口にしたが、リスト作成の責任者の言葉としてはどうか。内海の来季年俸1億円を西武に当てはめるとBランクに相当する。仮に左腕が来オフFA権を行使して復帰を望んでも、獲得には再び人的補償を伴う。また心情的にも1年で出戻る決断は難しいだろう。左腕は来季37歳。指導者としての復帰はともかく、選手としての巨人復帰を簡単に望める段階ではない。

 阿部のように大人の対応をできる選手はまれだ。「こんな球団でしたっけ?」とつぶやいた生え抜きの一人は「内海さんはジャイアンツの歴史そのもの。戦力としてだけでは測れない、手放してはいけない人だったはず。あれほどの功労者に対しても、球団はそう見ていたのかと。何かチームがバラバラになるんじゃないか、という怖さがあります」。非情なベテラン流出劇の波紋は当面、収まりそうにない。