【元局アナ 青池奈津子「メジャーオフ通信」特別編・上】エンゼルスの大谷翔平投手(24)は断トツの得票で今季のア・リーグ新人王を受賞した。右ヒジの内側側副靱帯を2度痛めたことで先発登板は10試合にとどまったが、全米に強烈なインパクトを与えた。フォーシームは最速101・1マイル(約162・7キロ)をマーク。スプリットは米メディアから「悪魔のような」と形容された。トミー・ジョン手術を受けたため、来季は打者に専念するのは残念だ。そのメジャー1年目、投手コーチとして見守ったチャールズ・ナギー氏(51)に舞台裏を明かしてもらった。

 ――大谷投手はどんな選手でしたか

 ナギー氏:彼は、評判通りの才能がある選手だった。スプリングトレーニングからシーズンに入ってその才能を存分に見せてくれた。途中でマメができたり、足首をひねるアクシデントはあったけどピッチングやバッティングは素晴らしく、そのあとで右ヒジの故障が起きたのは本当に残念だったけど、それでもなおかつ打席は素晴らしく、そんな彼を見ているのは楽しかったし、彼と過ごす時間はとても有意義だよ。しっかりとした若者で、野球に対する情熱をいっぱい持っている。入団初日からすぐに溶け込んでいたよ。

 ――スプリングトレーニングでは(投打とも)結果を残せませんでした。心配でしたか

 ナギー氏:ただ、まだ未知だったんだよ。彼の様子はビデオで見たり、日本での数字も資料として届いているから才能があるのはわかっていて、その才能はスプリングトレーニングでも所々で出ていた。彼自身が頑張って、ひたすら準備をしていって、初先発(4月1日のアスレチックス戦)は、確かにどこかホッとしたところはあったと思う。そこから始まった感じがするね。

 ――二刀流を指導する上で気をつけたことは

 ナギー氏:彼のスケジュールに気を付けないといけなかった。彼とトレーニングできる時間は短かったから。それから、他の投手たちとの間で臨機応変に動かなければならなかった。

 ――他の先発投手たちはどのように受け止めたのですか

 ナギー氏:大谷が入団する可能性があると聞いてオフの段階からほとんどが6人ローテーションを理解してくれた。実際に大谷の入団が決まって、みんなが納得の上でやっていたよ。大事なのは、コミュニケーションをしっかりとること。毎日状況をアップデートして、彼が次に投げる日が決まっていたら、みんながそれに対して大丈夫か確認しながらやっていったよ。

 ――不満を言う選手はいなかったのですか

 ナギー氏:誰もいなかったよ。「先発登板日数が減るから困る」とか「ルーティンが」とか誰も言わなかったよ。彼をチームに迎えられてうれしいってやつらばっかりだったし、みんながチームのために働くことに協力的だったよ。チームが何よりも最優先なんだ。

 ――これまで見てきた選手だと誰に似ていますか

 ナギー氏:う~ん、他の選手と比べるのは本当に難しい。大谷には、アベレージを超えるスピード、カーブボール、スライダーなど一つのパッケージとして素晴らしく、彼に火がついているときは誰も止められないよね。