【ニューヨーク発】ヤンキースのブーン監督は2日(日本時間3日)、翌3日(同4日)に行われるアスレチックスとのワイルドカード(WC)ゲームの先発を今季19勝(8敗)のエース、ルイス・セベリーノ投手(24)が務めると発表した。候補だった田中将大投手(29)は17勝の左腕J・A・ハップ投手(35)らとともに10人の投手枠に入ったことも明らかにした。

 田中か、セベリーノか、ハップか。引っ張りに引っ張った先発投手がようやく指揮官の口から発表された。「明日、セベリーノにボールを渡すことをうれしく思う。シーズン後半は苦戦した時期もあったがそれを乗り越えた。いいスタートを切ってくれると期待している」。9月29日(同30日)にキャッシュマンGMらと最終協議をし、30日(同1日)に決断したという。

 選んだ理由については「パフォーマンス、経験、球、対戦相手など全ての要素を考え最終的に出した結論」と語るにとどめた。セベリーノといえば昨年、WCゲームの先発に抜てきされたものの、初回に2被弾を含む3失点。わずか1/3回で降板し、大舞台でのメンタル面の弱さを指摘された。ブーン監督は「(昨年のWCは)苦戦はしたが、あくまで1試合で、その後のプレーオフでは結果を出している。多くの経験を積んでいるし、明日も十分に仕事こなせると思う」と信頼を寄せた。

 この日、全体練習に参加した田中は入念にキャッチボールを行うと、セベリーノと通訳を交えてしばし談笑。和やかなムードの中、グラウンドを後にした。もっともメンバーに入ったが、登板の可能性は低い。緊急事態に備えての措置だろう。

 一発勝負のマウンドを“弟分”に託した田中。勝ち抜いてレッドソックスとの地区シリーズでの登板を確信している。