【カリフォルニア州オークランド4日(日本時間5日)発】ヤンキース・田中将大投手(29)が、次回登板が濃厚な7日(同8日)のマリナーズ戦に向けてブルペンに入り22球を投げた。

 この日は故障者リスト入りしている主砲ジャッジと正遊撃手グリゴリアスが球筋を見るために打席に入った。セットポジションとノーワインドアップそれぞれ5球。復帰間近といわれる主力2人が鋭く変化する田中の生きたボールに苦笑いする一幕もあった。

 今季、田中の好不調を知る上で大きな目安となっているのが、宝刀スプリットのキレだ。もう一つの武器スライダーに関しては「シーズン通してずっと頼りになっているボール。バックドア(左打者の外角からストライクゾーンに食い込む軌道)やバックフット(左打者の内角低目へ消えていく軌道)の制球はいい方ではないか」(ロスチャイルド投手コーチ)と“高値安定”を示しているだけに、スプリットの出来が要チェックポイントとなっている。

 捕手も田中の好不調によって「決め球」をどう使うかを考えることになるのだが、最近になってある傾向が目立つようになった。スプリットを要求するとき、コースを決めず真ん中にミットを構えるケースがほとんどなのだ。

 昨季、宝刀の制御が利かず「落ちてもないし、ツーシームとほとんど変わらなかった」(田中)と語っていたときにはあまり見られなかった光景。ロスチャイルド・コーチに聞くと「真ん中に構えているときはいい状態の時だ」とキッパリ。さらに「スプリットの何をしたいかといえば、スイングを取りたいわけだからね。基本的に真ん中から落ちた方がスイングが取れる。だから真ん中に構えさせている」と語った。打ちごろのコースからスッと消える、この球種最大の効果が出せる状態だからこそ、ど真ん中に構えさせているという。

 シーズン終盤に向け精度を増す田中の魔球。次回登板ではバットが空を切るシーンを何度見ることができるのか。