16年で13球団渡り歩いた彼だから分かるメジャーリーガー引っ越し裏事情

2018年09月04日 11時00分

現在はアスレチックスでプレーしているジャクソン(ロイター=USA TODAY Sports)
元局アナ 青池奈津子「メジャー通信」

「まるでカメレオンみたいに色を変えてみせるよ」

 満面の笑みと軽快な口調で人の懐に楽しく入ってくるような人、エドウィン・ジャクソン。ビジターのクラブハウスで目が合った彼は「あっ!」と思い出した表情で「やあ!」とあいさつをくれたので、なんとなく誘われるように近づいていくと「ナショナルズにいる時じゃない? 僕、名前は全然覚えられないけど、顔はかなり覚えている方なんだ。久しぶりだね!」。

 驚いた。彼はやたらと移籍やトレードが多く、現役選手の中で、デビューから16年でプレーした球団数が13と、所属球団数最多記録を持っている。そのエドウィンが2012年のインタビューを覚えていた。ナショナルズというのも正解で、昨年シーズン途中に再び所属することとなったが、当時は1年契約のみで翌年からはカブスへ移っている。

 私はというと頭の中フル回転で記憶をたどったが、この時は以前何を話したのかさっぱり思い出せず…あとで当時書いた原稿を探したら「幼少期をドイツで過ごし、多国文化に慣れている彼は物腰柔らかで人当たりもよく、私のような外国人にもフレンドリー」なんて書いていて、一気に記憶が戻り、今もまったく変わっていないな、と苦笑した。「アップテンポもローテンポも空気に合わせられる」。まさにカメレオンな人である。

 オールスター戦出場もワールドシリーズ優勝もノーヒッターも経験している彼に聞けることは他にあっただろうに、終始盛り上がったのは「選手の引っ越し裏事情」(前回はドイツのアイスクリームのおいしさとオクトーバーフェストの思い出話)。

「僕ほど引っ越ししている選手はきっといないと思う。慣れるよ。引っ越し自体はそんなに大変じゃない。転勤族だった幼少期のおかげで社交性はある方だから、新しいチームにコミットして、なじむのは割と簡単。これだけ長年野球をやっていると、30球団に選手かコーチの一人は知っている人がいるしね。でも部屋探しだけはいつも本当に苦労する」

 シーズン半ばで移籍してきた選手のお家事情なんて、考えたこともなかったが、ホテル暮らしなのだろうと漠然と思っていた。

「できれば家で落ち着きたい方なんだ。おかげさまで僕にはトレードになった瞬間に、連絡をしたらいろいろと手続きを助けてくれるチームが控えてくれているけど、家具付きだとどうしてもコーポレートハウジングになっちゃって、高いんだよ…。まぁ、コーポレートに限らずシカゴやニューヨーク、オークランドもサンフランシスコが近いから家賃は普通に高いんだけどね」

「それまで住んでいた家の家賃? だいたいトレード先の球団が残りを払ってくれるかな。たまに移籍前の球団ということもあるけど。車の配送の手配は自分でしなきゃならないけど、費用は球団が持ってくれるよ。代理人が交渉するとかではなくて、伝統的にメジャーではそうやって面倒を見てくれるみたいだ。あ、DFA(40人枠から外れること)されると払ってくれない球団もあった。どことは言わないけどね(笑い)」

 米国の学校は9月に新学年がちょうどスタート。大リーグは25人枠から40人枠へと広がり、マイナーリーグから何人もの選手が新しい環境へ飛び込んでいて、彼らも知らないところで居住環境には苦労しているのかもしれないんだな、とまた違う見方を教わった。 

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