田中 メジャー5年連続2桁勝利の価値

2018年09月03日 16時30分

タイガース戦で10勝目を挙げた田中(ロイター=USA TODAY Sports)

【ニューヨーク2日(日本時間3日)発】ヤンキース・田中将大投手(29)は1日(同2日)のタイガース戦で7回を7安打1失点と粘りの投球で6試合ぶりとなる白星で10勝目(5敗)を挙げた。5年連続2桁勝利はヤンキースなどで活躍した黒田博樹(2010~14年)以来、日本人投手2人目。メジャーデビューから5年連続は自身の持つ、日本人最長記録を更新し、楽天時代から通算で10年連続で10勝以上とした。

 田中は登板翌日のルーティンで、グラウンドには姿を見せずノースロー調整。試合後、チームのチャーター便で敵地オークランドへ向かった。

 1日は粘りで白星を手繰り寄せた。初回に不運な内野安打2本を含む3連打でいきなり無死満塁のピンチ。4番マルティネスの左犠飛で1点を失うも、その後は冷静な投球。5番グッドラムは空振り三振、6番ロドリゲスを左飛に仕留め、最少失点で切り抜けた。

 そして最後のイニングもピンチを迎えた。2―1の7回、連打で無死一、三塁。さらに盗塁を許し二、三塁とされた。一打逆転だ。9番ルーゴを一ゴロに仕留めると、ギアを上げた。続く1番マトゥックをスプリットで空振り三振。続くアドゥチもフルカウントからの7球目、スプリットで空を切らせた。

 シーズン24勝無敗という大記録を引っ提げメジャーへ乗り込んでから5年。常勝、名門球団で投げる重圧のなか、変化を恐れずに進化を続け、ここまで62の勝ち星を積み上げた。5年連続2桁勝利もさることながら、負け越したシーズンがないのも見事だ。

 登板後、田中は「18歳で日本のプロ野球でデビューした時から、自分なりに一試合一試合、登板間もそうだし、少しでも向上していけるようにと思っていつもやっている。その積み重ねで今これている。自分が野球を辞めるまでそういう感じでずっとやっていくと思いますけどね」としみじみ語った。投球の質について聞かれると「でも、特別いいとは感じてないですね。まだまだかなと思ってます」と満足とは程遠い。

 ブーン監督も試合後の会見で「全体的に彼は本当に良かった」と繰り返し、信頼度の高さをうかがわせた。一方でロスチャイルド投手コーチは田中の偉業を独特の観点でたたえた。

「今の野球は知識や分析を重視して、『勝利』というところに価値をつけない傾向があるが、私は勝利は重要だと思う」。長いイニングを投げて勝つという、先発投手の重要性を日本メディアに熱く語ったのだ。

 例えば、2日現在、メッツの先発右腕デグロムは8勝8敗ながら、防御率はメジャートップの1.68ということもあり、米メディアは勝利数より内容で評価。また、先発投手の頭数が足りないレイズは、救援投手を先発させる変則作戦で勝ち星を積み重ねている。先発を早い回で降板させ、2番手が長いイニングを投げるのだ。救援左腕ヤーブローは13勝5敗を挙げている。

 こうした現状を目の当たりにするほど、先発投手として5年連続で2桁勝利を挙げた田中は輝きを放つ。もちろん偉業は通過点。残り1か月を切ったレギュラーシーズンを背番号19がどう投げるのか、楽しみだ。