巨人は8日の阪神戦(東京ドーム)で投打がかみ合い、3―1で逃げ切った。テレビ解説のため来場した球団OBの松井秀喜氏(44=ヤンキースGM特別アドバイザー)の眼前で伝統の一戦を制したが、この試合では斬新なオーダー変更がずばり的中した。その背景では何が起きていたのか。

 試合は初回から動いた。「5番・一塁」でスタメン出場した阿部が6号3ランで先制パンチをかませば、投手陣も先発の吉川光が6回無失点。その後を宮国→澤村→アダメスの救援陣が反撃を1点に抑え込んだ。

 巨人ベンチにとっては特別な一戦だった。松井氏が2016年の開幕戦以来となるゲスト解説を務めるため、原辰徳氏(60)とともに東京ドームに来場。その眼前で、今春のキャンプでゴジラの直接指導を受けた岡本と小林も、それぞれ1安打をマークした。特に新主砲へと急成長した岡本には松井氏も目を見張るばかりで「今日1試合の打席内容を見ると、今年これだけの数字を残しているのは納得できました」とうなずいた。

 由伸監督も「岡本のヒットも出たし、小林のヒットも出たし、よかったんじゃないですか」と思わず表情を崩したが、喜んでばかりもいられないのが本音かもしれない。この日は大幅に打線を組み替え、岡本が今季初の左翼を守り、阿部は6月17日以来の先発出場となった。

 気がかりなのは開幕から好調を維持する亀井善行外野手(36)の状態だ。前7日の試合で能見から受けた死球の影響かどうか定かではないが、試合前の練習には参加せず、試合にも出場しなかった。お立ち台に上がった阿部が「(スタメンが)突如決まったのでビックリしました」と語ったように、首脳陣も慎重に判断を重ねたようだ。

 外野陣は左翼・岡本、中堅・重信、右翼・陽岱鋼の布陣。一方、前夜に一発を含む2安打、2打点ながらスタメン落ちした長野は相手先発・才木に今季6打数無安打4三振で相性を考慮されたと見られる。

 近年の亀井は故障に悩まされてきたが、ここまで88試合に出場し、打率2割9分2厘、11本塁打、40打点。得点圏打率はリーグ2位の3割8分7厘と無類の勝負強さを発揮している。試合後は「ただスタメンを外れただけです」と言葉少なだった。大事を取っての休養ならまだいいが、ただでさえ故障者続出のなか亀井までリタイアとなれば、それこそ一大事。杞憂に終わることを願うしかない。