ブルワーズ守護神の趣味は父とのビール造り

2018年06月16日 11時00分

守護神クネバルは「ビール造り」が原動力(ロイター=USA TODAY Sports)
元局アナ 青池奈津子「メジャー通信」

【ブルワーズ守護神コリー・クネバル】「自分たちで造った方がコスパがいいんだ」と言ったのは、ブルワーズのコリー・クネバルだ。彼の趣味は「父とのビール造り」という。

「きっかけは、一緒にプレーしたロス・デトワイラー(現マリナーズ傘下3A)なんだ。ロスのお父さんが、30年以上も自分でビールを造っていて、彼もまねして始めたら楽しいからだまされたと思ってやってみなよって。ビール飲むの好きだしなって思って」

 それが約5年前。人のいいコリーは、素直に興味を持ち、オフになってすぐに自宅ビール醸造キットを購入。早速取り掛かったのはドイツの白ビールだった。

「一番最初のものは、もうひどくってさ。温度を保つのが大事なんだけど、そんなにデリケートだと思わなくて思いっきり失敗したよね」と苦笑い。

 めげずにベルギーの麦を使ってセカンドトライ…も大失敗。「すべて流しに捨てたよ」なんてあっさり言うが、すでに4週間分の努力が水の泡である。自宅でビールを造る工程をザッと説明しよう。造りたいビールの素を買ってきて、鍋の沸騰したお湯に入れ(その他、指示があれば他の材料も入れる)溶かし、ここに水を足して中身の温度を一気に20度台に下げる。発酵タンクに移し、イーストを混ぜてここから約2週間かけて発酵させる。「鍵はこの発酵なんだ。正しくやらなきゃならない。色が明るく透き通っている方がいい。何かが失敗をやらかした時は色が濃いんだ」

 しかもオフの間住んでいるのはテキサス。ビールの発酵は、できれば涼しい地域の方が好ましいが、冬でも暖かいテキサスでは、なかなか温度を低く保てない。
「大リーガーなんだし、保管用のストレージを買っては?」と問うと「買えなくはないだろうけど、そうするとコストがかかっちゃうから意味がない。スーパーでビールを買うとバドライト(アメリカで、よく出回っているビール)が24缶で約20ドル。自分たちで造れば、30ドルで50~60本できる」。倹約は大事なこだわりのようだ。ビール瓶だって、普段飲んだビールの空き瓶を取っておいて消毒して使うほどである。

 発酵がうまくいったら瓶に詰め替えてさらに寝かせるという。気が遠くなってしまうような作業だ。でも、これまで飲んできたクラフトビールにはどんどん感謝の気持ちが芽生えてくる。

 なかなかうまくいかないビール造りが成功したのは、父ジェフさんとタッグを組んでから。気がついたらジェフさんのほうがハマったそうで、一緒に造るとおいしいビールになるそうだ。
「4年前に造ったオクトーバーフェスト・コーシュ・エールっていうのは絶品で。スムーズでのど越しが爽やかだった。父はラガーが好きだっていうけど、僕はIPAのほうが得意」

 出来上がったビールは、ホリデーで集まった家族たちに振る舞うのが習慣になった。
「なかなか完璧にならない。でも、自分たちで造ったというだけで多少味が悪くても喜びがある。いつか子供に『お父さんは25年もビールを造ってきたんだ』と言える趣味にしたいんだ」

 自宅から15分で行けるというジェフさんのガレージで、親子が楽しそうにビール造りをする姿が目に浮かんだ。父と一緒にできるすてきな趣味。ビール造りは難易度が高いが、私もオフに何か一緒にできることを探してみよう――と、父の日を目前に思いをはせるのである。

 コリー・クネバル テキサス州ウィリアムソン郡ジョージタウン出身。1991年11月26日生まれ。26歳。右投げ右打ち。190.5センチ、88.5キロ。2013年のドラフトで1位指名されたタイガースへ入団。14年5月24日のレンジャーズ戦でメジャーデビュー。同年7月23日にトレードでレンジャーズへ移籍。15年からトレード移籍したブルワーズでプレー。17年はシーズン途中から守護神として定着。オールスター戦にも初出場し、リーグ3位の39セーブ、防御率1.78といずれも自己最高の数字を残した。

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