大谷が右肘靱帯損傷で初のDL入り「グレード2」長期離脱必至・最悪手術も

2018年06月09日 13時00分

前回登板のロイヤルズ戦はマメの影響で降板したが靭帯も痛めていた(AP)

【ミネソタ州ミネアポリス8日(日本時間9日)発】エンゼルスの大谷翔平投手(23)が右ヒジ靱帯の損傷でメジャー移籍後初めて10日間の故障者リスト(DL)に入った。すでにロサンゼルスでPRP注射などによる治療を受けているが、電話会見に応じたエプラーGMは「今後3週間は投げない」と明言。長期離脱となる可能性もあり、二刀流でのオールスター出場も絶望的だ。

 予想外の展開だ。大谷は6日(同7日)のロイヤルズ戦に先発した際、4回1失点と好投しながら、右手中指にできたマメの影響から5回のマウンドに向かうも交代を命じられた。表情は不満げでマウンドに来たソーシア監督を追い返すようなしぐさまで見せていたが、結果として緊急降板させた首脳陣の判断は正解だった。というのも、エプラーGMによれば「マメができて降板し、アドレナリンが収まったらヒジが張ってきたと大谷が言ってきた」からだ。

 日本ハム時代にも右足首痛や左太もも肉離れなどで戦線離脱したことはあったが、右ヒジ痛となるとプロ入り後では初めてのこと。すでに大谷は7日(同8日)にロサンゼルスで右ヒジに自身から採取した血小板を使って組織の修復や再生を図るPRP注射や幹細胞注射などによる治療を開始しており、この日からのツインズとの3連戦が組まれている敵地ミネアポリスへの遠征からも外れた。

 球団側も想定外の事態に慎重な姿勢だ。エプラーGMは今後3週間は投げさせない方針を明確にしただけでなく、ヒジの治療をしながら野手としてだけ出場させる可能性についても「彼が指名打者だけの選手ならともかく、そうではない。そのように起用したいとは思わない」と否定的な見解を示した。

 同GMによると、チームドクターの診断では、大谷の患部の損傷レベルは「グレード2」だという。完全断裂を示す「グレード3」でないのは不幸中の幸い。3週間後の再検査で今後の治療方針を決める予定だが、最悪の場合には復帰に1年以上かかるとされる靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受ける可能性もゼロではない。エプラーGMは「(現時点で医師から)そのような意見は出ていない。避けられたらいい。このままの治療で回復できれば」と話したが、あくまで希望的観測だ。

 ツインズ戦前に報道陣の取材に応じたソーシア監督は「彼はとてもスペシャルで、我々にとって重要な存在で、重要な左打者でもある。とても残念だが(大谷抜きで)前に進むしかない」と語った。守備の要である遊撃手のシモンズが右足首捻挫、外野手のカルフーンも右脇腹痛でDL入りしていることもあり、指揮官はいつものように覚えたての日本語を披露することもなければ、ジョークを飛ばすこともなかった。

 日本ハムからポスティングシステムを利用してエンゼルス入りした大谷はオープン戦で苦戦したものの、開幕から投打の二刀流で活躍。投手では9試合に先発して4勝1敗、防御率3・10、打者でも34試合で打率2割8分9厘、6本塁打、20打点を記録している。7月17日(同18日)にワシントンのナショナルズ・パークで開催されるオールスター戦ではホームラン競争や二刀流で出場するかどうかが話題を集めていたが、最短でも復帰には1か月を要する見込みで出場は絶望的だ。ここまで順調だった二刀流右腕が試練の時を迎えた。

【PRP療法とは】再生療法の一種。自身の血液から抽出した多血小板血漿(しょう)を患部に注射することで、損傷した組織の回復を図るもの。靱帯の断裂、部分断裂の治療では、損傷部分を切除して他の部位から腱を移植する靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)が有名だが、復帰に1年以上を要することからPRP療法を選択するケースもある。

 最近ではヤンキース・田中がメジャー1年目の14年7月9日に右ヒジ痛を訴えてDL入り。MRI検査の結果、右肘内側側副靱帯の部分断裂と診断されたが、手術を回避し、同療法を選択した。およそ3週間のノースロー調整を経て、同年9月21日のブルージェイズ戦で復帰。6回途中1失点の好投で白星を挙げた。