巨人は3日のオリックス戦(京セラ)に2―3で競り負け、2連敗で3カード連続の負け越しを喫した。前日に初めて4番に座った「巨人軍第89代4番打者」岡本和真内野手(21)の走塁ミスも明暗を分ける結果となったが、この日はマルチ安打をマークするなど、今季は新4番として打率3割3分、10本塁打、36打点と好調を維持。日増しに頼もしさを増す背番号25を支えるレジェンドの格言とは――。

 どうにも波に乗れない。今季2度目の先発登板となった内海は足がつるアクシデントで降板する6回途中まで1失点の粘投。打線も陽岱鋼の同点打とルーキー田中俊のプロ初打点で一時は勝ち越したが、3番手の澤村が7回に同点に追いつかれ、8回にはマシソンが決勝点を献上した。これで6カード連続で勝ち越しがなく、借金3で勝率5割が遠のいた。

 そんなチームで明るい材料となっているのが、岡本だ。由伸監督は2日から岡本を初めて4番に抜てき。その期待に応え、初打席でいきなり特大10号ソロをかっ飛ばすなど鮮烈な4番デビューを飾った。岡本自身「前半戦のうちに10本打てるとは思っていなかったので、驚きは大きいです」とビックリだったが、新たな主砲誕生にチームは大いに沸いた。

 プロ4年目でブレークした要因は数え切れないが、チーム内で多く語られるのは何事にも動じない“鋼のメンタル”だ。スタッフは「和真の精神状態はオープン戦の時からまったく変わっていない。常に一定。どれだけ打っても喜びすぎないし、どんなミスをしても落ち込みすぎない。こうなれたのは、ジーターの言葉に大きな影響を受けたからです」という。

 どういうことか。今年の宮崎春季キャンプでは巨人OBの松井秀喜氏(ヤンキースGM特別アドバイザー)が臨時コーチを務め、盟友のデレク・ジーター氏(マーリンズCEO)の言葉を紹介。日々一喜一憂することなく結果を受け入れ、次に何をするかを考えることを繰り返すという意味を持つ「Every single day」だ。このジーター氏の言葉が浮き沈みの激しかった岡本の精神をフラットにさせたという。

 この日も「4番・一塁」で先発出場した岡本はマルチ安打をマーク。ただ、2―2の8回無死一、二塁の勝ち越しのチャンスで二走の岡本はタッチアップするには十分な右翼への飛球を判断ミス。結果、この回無得点に終わりチームの連敗につながった。

 指揮官が「レギュラーとして出る以上は、走攻守すべてにおいてきっちりやってくれないとね」と求めたのも当然で、岡本は「(打球判断は)難しくはなかったのですが…」と言葉少なに帰路に就いた。長いシーズンに失敗はつき物で、こうした時こそジーター氏の教えが励みになる。

 5日からの楽天戦(東京ドーム)に“和製ジーター”はもちろん、心機一転して臨む。