【ニューヨーク25日(日本時間26日)発】エンゼルスの大谷翔平投手(23)はヤンキース戦に「5番・DH」で先発した。相手先発は4月27日(同28日)に本拠地で4号弾を見舞っている快速右腕のルイス・セベリーノ(24)。雪辱に燃えるヤンキースの開幕投手と今度は敵地で再戦した。

 2回の先頭打者として第1打席を迎えた大谷を待ち受けていたのは大ブーイングと外角攻めだ。前回、大谷に内角球を右翼スタンドに運ばれているセベリーノは徹底して外をつき、外角低めの159キロ直球に手が出ず見逃し三振に倒れた。

 4回の第2打席も外角攻めに遭ったが、フルカウントからこの日初めて投じられた内角球を冷静に見極めて四球を選んだ。6回一死走者なしからの第3打席は二ゴロに倒れた。それでも試合前から初めてプレーするヤンキー・スタジアムを沸かせた。前回登板した20日(同21日)のレイズ戦後、ノースローを経て2日前からキャッチボールを再開した大谷は水原通訳を相手に前日よりもやや強度を上げたキャッチボールを行い、その後は5分ほど左翼でダッシュを繰り返した。

 その後、いったんはクラブハウスに引き揚げたが、フリー打撃のために再びフィールドに現れると、大勢の報道関係者、入場したばかりのファンが見つめる中、まずは中堅バックスクリーン上のカメラマン席に着弾するあいさつ代わりの一発を披露。その後も右中間のブルペン、左中間のブルペン、右中間スタンド中段、そして、ブルペンを越え左中間スタンド前列に突き刺すという、右打者でも難しい本塁打を放った。中堅中心の打撃に徹していたため、右翼2階席、3階席への一発はなかったが、計14本の柵越えにヤンキースファンからも大きなどよめきが起きた。

 投手として先発予定だった27日(同28日)の登板が見送られ、ヤンキース・田中との投げ合いはいったん消滅。ニューヨーク・ポスト電子版は「エンゼルスが2人の対決をぶち壊した」と恨み節を展開した。大谷の登板予定についてソーシア監督は「我々としてはメディカルスタッフ、GMの判断を待って、いつローテーションに戻れそうか様子を見ることになる。今後はライト(軽い)ブルペン、ヘビーブルペンを経てということになるが、来週のどこかで投げると見ている」と明言を避けた。

 また、この日のエンゼルスは1番キンズラー、2番トラウト、3番アップトン、4番プホルスと上位打線は4試合連続で同じラインアップ。ソーシア監督は大谷を5番に置いていることについて「彼の才能なら間違いなく1番、2番も打てるし、3番、4番、5番もそうだ。彼は今、5番といういいスポットにいる。ぜひとも(前の打者たちが)出塁しているときに結果を出してもらいたいね」と期待を寄せた。

 とにかく、初登場したニューヨークでのブーイングは争奪戦で大谷にソデにされたヤンキースファンの恨みもあるだろうが、大谷を大物として認めた証しでもある。今後も二刀流への“心地よい”ブーイングはさらに高まるだろう。