第90回選抜高校野球大会が23日に開幕し、第2試合では国学院栃木(栃木)が3―2で英明(香川)を下した。4回に打球がエース水沢(3年)の右脇腹を直撃して途中交代するなど1点差に詰め寄られたが、渡辺、宮が好救援。自慢の“3本の矢”で呼び込んだ勝利に柄目監督は「渡辺が流れを止めてくれた」と目を細め、渡辺も「同点でもOKと思って気楽に考えた」と笑顔を見せた。

 柄目監督が「ベンチもグラウンドと一体となって落ち着いていた。どんな展開になっても穏やかだった」と話すように、メンタルが安定しているのが強みだ。指揮官は選手の性格分析が大切と考え、心理学の専門家に依頼して公式戦の大会前になると部員全員に面談や心理テストを実施。それぞれの性格的な傾向を数値化して野球に生かしてきた。選手は「テストは50問くらいのプリントが数枚あって、先生が持ち帰って分析してくれます。いいところや気をつけないといけないこと、自分の性格がよくわかる。その結果を見て野球に役立てています。おかげでピンチでも慌てなくなった」と話す。

 イメージトレーニング法もいくつかあり「大丈夫でなくても心で『大丈夫』って10回言えば、本当に大丈夫に思えてくる。脳が誤作動するらしいんです」(ある選手)。また「目をつむってレモンを思い浮かべ、それを輪切りにして口に入れる。よだれが出たら落ち着くんですよ。これは監督もやっています」などなど。この日も試合中に大栗(3年)が“レモン作戦”を実践し「緊張したときは試合前にもやっています。リラックス効果がある」という。栃木といえば「レモン牛乳」が有名だが、聖地でもレモンが生かされたようだ。