第89回選抜高校野球大会は30日、準決勝が行われ、履正社(大阪)が報徳学園(兵庫)との近畿隣県対決を6―4で制し、準優勝した2014年以来となる3年ぶりの決勝進出を決めた。

 土壇場で昨秋神宮大会覇者の履正社が意地を見せた。1点を追う9回に先頭の代打・白滝が右中間を破る二塁打。犠打と四球で一死一、三塁とすると、溝辺のスクイズで同点に追いついた。岡田監督は「これしかない、イチかバチかだった。それがダメでも次の安田でと思っていた」と明かす。

 なおもプロ注目の3番・安田は四球で満塁。これに燃えた4番・若林が右前へ適時打を放ち、逆転に成功した。「安田が敬遠気味に歩かされて、悔しいけど、それが今の自分の実力。何としてでも打ち返してやろうと思った」。この気迫の一打から、その後も敵失が絡むなどこの回、一挙4点を奪って突き放した。

 今大会初登板の先発・松井が3回2失点。2番手で今大会3完投のエース右腕・竹田が4回から登板し、6回2失点の好投を見せて逆転勝ちを呼び込んだ。岡田監督は「(今大会で勇退を表明している報徳学園の)永田監督の執念を感じながら、素晴らしいゲームをさせてもらって感動しています」と最終回までもつれた苦しい試合を振り返った。

 決勝へ向けて明るい話題は主砲の安田の復調だ。大会当初は打棒が湿っていたが、前日の盛岡大付戦で3安打1打点、この日は初回に高校通算50号となる先制ソロを放った。「昨日の試合から調子が上がってきた。本塁打は狙っていたわけじゃないけど、ベストの結果が出てうれしい」(安田)とニッコリ。岡田監督も「安田にちょうど50号が甲子園で出て良かった。いい当たりでしたね」と最敬礼だ。

 決勝の相手は大阪桐蔭で同都府県同士の決勝対決は史上5度目。それでも岡田監督は「大阪同士は過去にないんでしょ」と不敵に笑いつつも「ここまで来たので何も臆することなく全力で頑張らせてやりたい」。狙うは春夏通じて履正社の初優勝だけだ。