第89回選抜高校野球大会第10日(29日、甲子園)、準々決勝が行われ、秀岳館(熊本)が高崎健康福祉大高崎(群馬)に9―2と快勝し、昨年の春夏に続く3季連続3度目のベスト4進出を決めた。

 打線が木本の2ランを含む長短15安打を放つ猛攻を見せれば、先発の川端は13三振を奪い、8安打2失点で完投。投打の歯車がガッチリとかみ合い、健大高崎の掲げる「機動破壊」を粉砕した。

 不振だった3番・木本がお目覚めだ。初回一死一塁で左翼席に先制2ランを放ち、主導権を握った。3回にも木本の犠飛で1点を追加すると、4回には川端、半情、渡辺と3連続適時打で4点を奪う。その後も攻撃の手を緩めず、15安打で9点を奪った。

 2安打3打点の木本は「今まで結果が出ていなかったので、今日こそはと思っていた。相手は先制点を取って、脚でかき回してリードをつくるチームなので、先制点をしっかり取ってウチのペースに持っていけてよかった」と胸をなで下ろした。

 鍛治舎監督は「木本の初回の一発が効きました。理想通りのホームランが出た」と目を細めながら「木本は真面目なタイプなんで『(不振でも)もっといい加減にやっていい。そんなに一生懸命にやるなよ』と伝えていたが、きちっと芯で捉えられて、やっと調子が戻ったと思う」と話した。

 最速148キロ左腕・川端は145球の熱投を披露。伸びのある直球と鋭いキレ味のスライダーなどで13三振を奪った。スローガンに「機動破壊」を掲げる健大高崎相手に5盗塁こそ許したが、動じることなく2失点で完投。「けん制は1球もしていないです。走っても気にしないでおこうと思った。三振は狙わず、打たせて取ることを心がけた結果。始まってちょっとしてから監督に『完投しろ!』と言われたので、気持ちを締めていこうと思った」と振り返った。
 
 3季連続4強入りを果たした鍛治舎監督。30日に大阪桐蔭と対戦する準決勝は、昨年2度とも敗れて決勝進出を逃している。「二度あることは三度あるかになるか、(決勝進出へ)三度目の正直があるか分からないが、次頑張ります。昨年は春夏含めて監督のミスで負けた。(決勝戦の相手チームを)口に出したり、考えたりしちゃっていた。そんなに甘くない。準決勝、その試合を最後の一球まで全力を尽くしてやり切るというのが先だと思う」

 熊本地震を乗り越えての出場している秀岳館だけに、指揮官は「次の試合を勝ち切って、県民にいい報告をしたい」と表情を引き締めた。