第89回選抜高校野球大会第9日(28日、甲子園)、引き分け再試合となった2回戦が行われ、高崎健康福祉大高崎(群馬)が福井工大福井に10―2と大勝し、8強入りを果たした。

 健大高崎打線が爆発した。初回から福井の先発・加藤に襲いかかり、自慢の機動力と5本の長短打を浴びせて4点を先制。4回には打者一巡の猛攻で6点を挙げ、再試合を一方的なものとした。

 圧巻だったのは札幌第一(北海道)との1回戦で満塁弾を放った3番・山下。押せ押せムードの4回二死満塁で打席に入り、2番手・中田の甘く入ったスライダーを強振。打球は右翼席に吸い込まれるグランドスラムだ。1大会2本の満塁弾は2015年の敦賀気比の松本以来、史上2人目。山下は「チャンスだったので1本出すという気持ちで入った。外野は越えると思ったけど、スタンドまで行くとは…。力まずに自分のスイングができるようにしてます」と笑顔で振り返った。

 1年生から4番を打つなど主軸を任され、満塁弾は練習試合を含めて3発目。大舞台での離れ業に青柳監督も「迷いなく思い切り振ってくれた。(1回戦に続いて)これだけ点が取れたのは山下の力がある」と褒めたが、ナインはさほど驚かないという。

 ある選手は「本番に強い。やってくれる雰囲気はいつもある」と話す。例えば「あいつ、普段はベンチプレスでも100キロを超えないのに、測定の時になると100キロを超える。なんでなのか、といつも不思議なんです」。本番で力を発揮するタイプというわけだ。

 投げては向井が3安打2失点、11奪三振で完投。8四死球を反省しながらも「2試合で登板機会がなかったので気持ちを入れた。山下の本塁打が力強かった。最後まで投げられてよかった」と初めての甲子園マウンドで躍動した。準々決勝の相手はV候補の秀岳館(熊本)。山下は「次も自分が打撃の中心になって攻めたい」と目を輝かせた。