第89回選抜高校野球大会第8日(27日)第1試合で昨夏覇者の作新学院(栃木)を3―2で破った秀岳館(熊本)の鍛治舎監督は選手とのコミュニケーションを盛んに取るタイプ。選手にあだ名をつけて師弟間の心の距離を近づけている。

 例えば竹輪(たけわ=3年)は「チクワ」で渡辺(2年)は「芋鍋」。寺西(3年)はゲームキャラに似ていることから「マリオ」。ある選手は「あだ名を付けられると、僕らからも監督に話しやすい。聞きたいことも気兼ねなく聞ける」と話す。のびのびと野球ができる環境作りにひと役買っているのだ。

 この日の作新戦は初回に1点を先制され、4回に逆転したものの、追いすがる相手に苦しめられた試合。指揮官は自身の采配について「大失敗だ」と話したが、選手と監督の間柄といえども、このように悪いことは素直に悪いと言える人物のため、選手からの人望も厚い。ある選手は「僕らとも友達みたいにジャレ合うのが好きで、ストレッチしてるとふざけて踏んづけてきます」とおちゃめな一面も明かした。

 2014年の就任時に「3年で日本一」と公言した鍛治舎監督。あだ名で心をつかまれたナインが“大きな友達”のためにも優勝を目指す。