
第89回選抜高校野球大会第8日(27日、甲子園)、秀岳館(熊本)は作新学院(栃木)に3―2と競り勝ち、夏春連覇の野望を断ち切った。
鍛治舎監督が「まるで負け試合のような試合」と語る非常に厳しい戦いを制したのは、左の2枚看板の頑張りがあったからだ。
先発・田浦(3年)は初回に暴投で1点を与えたものの、2、3回をしっかり抑えて味方の反撃を待つ。すると4回、5番・山下(2年)の適時二塁打に続いて、自ら適時三塁打を放って逆転に成功。6回にも1点を加えて突き放した。
7回に二死一、三塁のピンチを招いたが、リリーフした川端(3年)が空振り三振を奪って乗り切った。川端は8回に1点を失い、9回にも全て塁を埋められたが、最速148キロの直球とスライダーで同点は許さなかった。「自分でつくってしまったピンチで同点、逆転されたら申し訳ない。意地でも取ると思って投げた」と川端は胸を張った。また「(田浦が)いい投球していたら、こっちも好投しなきゃ」と互いに刺激し合う仲だという。
投打に貢献した田浦は「高校入学してから打撃練習をほぼしてない。紅白戦で打つくらい」と明かす。それで強打の秀岳館の6番を打つのだから驚きだ。相手投手のデータも見ずに「来た球を打つ」だけだといい、練習で打てないぶん試合で打つのが「楽しい」と言い放つ姿は男らしい。準々決勝も2人のエースがチームを引っ張る。